2002.08.04

777便で19:50に鹿児島に到着した。
ディスパッチへ行き、折り返し 鹿児島 → 関空 の飛行計画をもらった。

ディスパッチ・ルームにはめずらしく地上スタッフの GH さんがおり、机に向かって熱心に何かをしていた。
へぇ〜、こんな夜に、一体、何をしているんだろう??
そばに行って覗きこむと、どうやら勉強しているようだった。
パイロットが使う飛行場のチャート(地図のようなもの)のコピーの分厚い束を見ながら
別の紙に書きこんでいるのは・・・・、最低気象条件関連の数字だ!
随分と専門的なことまで勉強するんだなぁ!
驚きを隠せず、聞いてみることにした。

「何故チャートの勉強をされているのですか?」
間もなくテストなんですよ。」(GH)
「こんな専門的なことまで勉強するんですか?」
GHさんは苦笑しながらうなずいた。
「う〜ん、これだけ知ってれば、飛行機、飛ばせるかもしれないですね♪」
GHさんは笑っていた。

鹿児島は Runway 34 を離陸し、右旋回して機首を南に向けた。
すると、鹿児島の街中で大きな花火が上がっている!
と、さらに南の海に浮かぶ小さな島からも花火が!
さらに南西の半島の方角でも花火を発見!!
いやぁ〜、きれいだなぁ・・・。
ん゛ん゛ん゛っーーーーー!!!??? 流れ星ーーーーー!!!
地平線に近い、かなり低い所、小島の花火のバックグラウンドに、
東から西に向かって真横に長く尾を引きながら横切った!
すっげぇ〜、きれぇじゃ〜ん♪

操縦していない私は手元を見なくてはならない仕事が多く、外ばかりも見ていられない。
操縦担当のキャプテンは外部監視の義務があり、合法的に星空を眺めることができる。
今日は流れ星が多いみたいだね。」(キャプテン)
「えっ? そんなに見えます?」
見える、見える。」(キャプテン)
クッソー!
うらやましいなぁ・・・。
早いとこ、仕事、終わらせんと。

とっとと仕事を終え、私も美しい星空に見入った。
今日はめずらしく空が澄んでるね。 天の川も見えるよ♪」(キャプテン)
ほんとだ! 見える、見える!
あっ、また流れ星、見ぃーっけ!

宮崎の方角へ左旋回し、進路を東にとる。
そして 21,000feet まで上昇し、水平飛行に移った。
ほら、あそこに北極星が見える。 分かる? 北極星って意外と暗いんだよね。」(キャプテン)
私の座る右席からは北の空は見えなかった。

仕事をしながら、時々外を見る程度だったが、それでも流れ星を4つも見つけることができた。
キャプテンはもっと沢山見つけたようだった。
どっか、山の上に行ってさ、寝っころがってこんな星空をいつまでも眺めていたいね。」(キャプテン)

四国の高知までくると、除々に薄い雲が頭上に広がり、星は隠れてしまった。
今度は眼下の海岸線に目を移した。
あっ、花火だ!
あっちにも! ・・・・・ あっ、あっちにも!
視野に入るだけでも3か所で大きな花火が上がっていた。
どこの花火会場もクライマックスに近づいているようで、次第にその明るさは増して行った。
きっとフィナーレなんだろう。
しばらくして花火は終わった。

関空へ向けて降下を開始すると、瀬戸内海にも花火が上がっているのが見えた。
そうか! きっと、今日は日曜日だから花火が多いんだ。 今年はどっか、花火を見に行きたいな。」(キャプテン)
「そうですね。 僕は今月の24日に休みを取っているんですけど、伊丹の花火を見に行きます。」
猪名川の花火? いいなぁ〜。 そういうのって、マメにスケジュール調べないといけないんだろうなぁ、きっと。
 オレ、その日、何だっけな? 確か、仕事だったような気がする。
」(キャプテン)

淡路島の上空を通って関空へ向かった。
この辺まで来ると、急激に視界が悪化し、遠くの景色は全然見えない。
雲があるわけでもないのに、すぐ真下の海岸線の町明かりしか見えないのだ。
最近、淡路島から大阪方面、いつもこんな感じで視界が悪いよね。」(キャプテン)

確かにそうだ。
高気圧に覆われると視界は悪くなりがちだけど、毎日っていうのもおかしな話しだ。
関西もそうだが、都市部は熱がこもってヒートアイランド現象が起こってるから、こんなことになっているのかなぁ?



2002.08.08

朝、関空に出勤し、テーブルに置いてあった新聞を何気なくペラペラめくっていた。
すると、ある記事が視界に入り、私はくぎ付けになった。
『少年ジャンプ、漫画家を逮捕』
なに、なに?
毎週、少年ジャンプを読んでいる私は興味をそそられた。

「女子高校生に現金を渡してみだらな行為をしたとして、
 警察は漫画家島袋光年容疑者を児童売春・児童ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕。」

なぬぅ〜〜〜??!!
しまぶー、何やってんだよ?
これをきっかけに、私が毎週最も楽しみにしている「世紀末リーダー伝、たけし」がなくなってしまったら、
いったい私はどうしたら良いのだぁぁあああ〜〜〜〜!!!(怒)

まったく驚いた記事であると同時に、私にとって、今年最大、最悪の、まさに世紀末的ニュースだったのである。
朝、5時に起きて出勤し、いきなり目が覚めまくってしまった。
私の大声に驚いた先輩パイロット達に、一体どうしたのか?聞かれ、
私が正直に答えたときの彼らのあきれた顔がこれまた世紀末的で、とても印象的だった。
こんなことに打ちひしがれている自分が、世紀末的に情けなく、また可哀想だった。

オレに幸せを返せ〜〜〜〜〜!!!!

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松山空港を Push Back すると、隣の6番ゲートに駐機されている飛行機を見たキャプテンが言った。
あれ、めずらしい飛行機だね。」(キャプテン)
それは Finnair(フィンランドの航空会社)の Boeing 757-200 だった!
関空で何度か離着陸しているB757を目撃したことはあったが、これほど近くで見たのは初めてで、感激♪
ボーイングにしては珍しくスリムなボディをもつこの機体。
足も長くなかなかセクシーではないか!
う〜ん、気に入ったゼイ。

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千歳空港に着き、ブリーフィングを受けにディスパッチへ行った。
次は新潟だけど、天気はどうかなぁ・・・・・?
ゲェェエエ〜〜〜!!??
35℃〜!?
そっかぁー、今日は南風が吹いてて、フェーン現象が起こって、それで暑いのかなぁ。
千歳は22℃だから、13℃も気温差があるのね。

近くにいたB737のクルーは、どうやら利尻に行くようだった。
「天気、あまり良くないんじゃないですか?」
聞いてみると、利尻の気温は14℃とか。

新潟、というと、私には雪国のイメージが強く、それこそ北海道と気温は同じ、くらいに思えるのに、
千歳、利尻とは全然違い、夏はとても暑くなることに驚いた。

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キャプテンと話をしていると、次の日曜日に教官の会議があるのだそうで、
そのときまでに航空の安全に関する標語を考えることが宿題で出されているのだった。
かなり憂鬱そうである。 しかも、小学生の宿題みたいだ。
う〜ん、なんだかよく分かんないけど、そんなことして意味あるのかなぁ・・・・・?
と思いつつ、やっぱり標語を考えてしまう私。

「キャプテン、一つ、思いつきましたよ♪」
え、なに、なに?」(キャプテン)

「気をつけろ。目には見えないネコがいる。」(注)

・・・・・・・・・・・。」(キャプテン)

あっちゃー、くっだらなくって、全然面白くなかったかぁ?

(注)乱気流(タービュランス)の発生する場所として、
   発達した雲の中や、ジェット気流周辺の風速が急激に変化する場所が考えられる。
   前者は目に見えるのに対し、後者は目に見えないので予測しづらく、
   CAT(Clear Air Turbulence)と呼ばれている。

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新潟の町は祭りでにぎわっていた。

ホテルのエレベーターに乗ると、脳に障害を持った男の子と母親らしき人が乗っていた。
ゆっくりと降りていくエレベーターのドアに向かって立っていると、
私の腕に柔らかいものが触れた。

ダメでしょ。 さわっちゃ。」(母)
私は振り返ると、男の子は恥ずかしそうに笑っていた。
私と目が合うと男の子は顔を手で覆った。
私はお得意の満面の笑顔でジィーッと彼を見つめていると、手をどけた彼と目が合った。
彼もニッコリ笑った。
私は再びドアに向き直った。
ダメよ。 知らない人にさわっちゃ。 ごめんなさい、は?」(母)
私は再び笑顔で振り返って、子供をジィーッと見つめた。
男の子は、嬉しそうな、でもちょっと恥ずかしそうな顔で声をたてて笑っている。
そんなに面白いの? そう。 なんか、体育の先生に似てるね。 お兄さん、格好いいねぇ。」(母)
と、お母さんは男の子に話し掛けた。

お兄さんっ!?!?!?
う〜ん、お兄さん、って呼ばれるの、なんて久しぶりなんだろう。
最近は、他人にはおじさんと呼ばれ、家ではオヤジと呼ばれ、あぁーー、お兄さん、かぁ〜。
なんて爽やかな響きなんだぁ〜♪
そうだよ、やっぱりお兄さんだよ。
33才だけど、顔は童顔だし、思いっきり垂れ目なんだからさ。

エレベーターが1階に着いた。
お母さんに会釈し、男の子に手を振って見送った。

小さな幸せの瞬間だった。



002.08.09

新潟から千歳へ向かった。
千歳空港へ向けて降下中、18,000feet 〜 13,000feet の間は大きく揺れる、
とのレポートをカンパニー無線で受けていた。

25,000feet を通過中、キャプテンはシートベルトサインを点灯させた。
サインがつくと、客室乗務員(CA)は客室内を見回り、乗客全員がベルトを着用していることを確認し、
それが終わってから自分達も着席する。
この行程に2〜3分かかるから早めにベルトサインを点灯させるのだ。

しばらくしてCAにインターフォンで呼ばれた。
お客様に呼ばれているのですが、立ってもよろしいですか?」(CA)
「もう少しすると強く揺れるので、座っていてもらえますか?」
同じお客さんに何度も呼ばれているのですが・・・・。」(CA)
じゃあ、3分以内に戻って座ってくれる?」(キャプテン)

18,000feet に近づくと、レポート通り飛行機が強く揺れ出した。
ちゃんと座ってるかなぁ。」(キャプテン)
再びCAにインターフォンで呼ばれた。
「座ってますか?」
ハイ、着席しています。
 先ほどのお客様ですが、前に座っている方が背もたれを倒していて、
 それが気に食わないと前方のお客さんとケンカしていました。
」(CA)
そうですか。 手は出してないんですよね?」(キャプテン)
ハイ。」(CA)

最終の着陸態勢に入る前には、全てのお客さんは背もたれを元の位置に戻さなくてはならないし、
その旨、CAはキャビン・アナウンスを入れる。
だが、それ以外の場合、背もたれを倒すのはお客さんの自由であり、文句を言われる筋合いはない。
その人、酔ってるのかなぁ?」(キャプテン)

以前、私が便乗で他社の便に乗っているとき、見たことがある。
背もたれを倒している前のお客さんの席を、靴で思いっきり蹴っている男性がいた。
前方のお客さんはちょっと振り返り、その後黙っていたが、なんて失礼なことをするんだろう?
と、あの時、私は感じた。

これから大きく揺れるのが分かっていて、危険だから
CAが見回りにかかる時間も計算に入れて、シートベルトサインを点灯させた。
にもかかわらず、背もたれが倒れているのが気に食わない、という自分勝手な理由でCAを何度も呼び出し、
苦情を訴える、というのはどういうものだろうか?
もしそのせいでCAの座るタイミングが遅れ、乱気流に巻き込まれて天井にたたきつけられでもしたら、
大怪我をしたら、それはわがままなお客さんの責任ではなく、機長の責任になるのだ。

その後、インターフォンでCAに呼ばれることはなかったので、大きな問題にはならなかったのだろう。

到着後、乗客が全員降りてからCAに話を聞いた。
問題を起こしたのは40歳後半の男性で、酔っていたわけではなく、しらふの状態で切れていたらしい。
背もたれを倒していた前に座っていた男性は30歳くらいで、
一度後ろを振り返ったものの、後は相手にしなかった、とのことだった。
問題の男性はCAを呼びつけて、前の男性に聞こえるように嫌味を言っていたらしい。

まったく何を考えているのか?

不景気でさ、解雇されたり、家庭が大変だったりで、イライラしてる人が多いのかもよ。」(キャプテン)

そうだよな。 そういうことも考えられる。
もし問題を起こした人の身に何か不幸なことがあって、それで切れてしまったとして、
私達は彼の身の上を知らないわけだから、失敬な人だ、と勝手に決めつけるのは間違ってるのかもしれない。
事情が分からない以上、どんな場合にも、誰に対しても、
その人には必ず正当な理由がある、とみなして笑顔で接することができる、
そんな器の大きな人間になれるよう、私達が努力するべきなのかもしれない。
だからといって、他人に迷惑をかける行為を見逃すわけにもいかないし。
中には、下手に出るとつけ上がる人がいることも事実だ。

う〜ん、本当に難しい。

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以前、リムジンバスに乗っていたときのこと。
私の前の座席に茶髪の若い男性とその彼女らしき女性、まさに今風のカップルが座った。
しばらく楽しそうに会話をしていたが、突然、男性は後ろに座っている私に振り返り、
とても礼儀正しい声色で言った。
背もたれ、倒してもよろしいでしょうか?
「ハイ、どうぞ。」
分かるか分からないかくらい軽く、彼は私に頭を下げ、背もたれをゆっくり倒した。
そして、再び女性と楽しそうに会話を始めた。

座席の背もたれを倒すのは、座っている人にとって当然の権利だと私は思っていた。
もちろん勢いよく倒すのではなく、ゆっくり、そーっと
後ろの人に迷惑がかからないように倒すようにはしている。
だが、後ろに座っている人に、「倒してもよろしいですか?」と聞くほどの気配りをしたことはない。
彼に対して失礼かもしれないが、この茶髪の若い男性の行動に私は驚いた。
それは「今時」の外見への偏見だったのかもしれない。

私も見習わなくっちゃなぁ、と考えさせれた出来事だった。



2002.08.10

千歳から松山に到着した。

コックピットから外を見ていると、お客さんは夏休みのせいか子供連れの家族が多い。
最後の方に降りたお客さんは、ゆっくりとしたペースで手荷物を受け取る場所まで歩いていく。
その中で、3人の男の子を連れたお父さん、お母さんが目に止まった。

キャプテンは彼らに手を振った。続いて私も手を振った。
お母さんが最初に私達が手を振っている事に気がつき、
近くを歩いていた男の子にその事を教えているのが見えた。
「ほら、見てごらん。 パイロットがあなたに手を振ってるよ。」とでも、きっと言っていたのだろう。
男の子は飛行機を振り返ったが、すぐに向こうを向いてしまった。
それでも私達はあきらめず、彼が気がつくまで手を振った。
お母さんは再び男の子に声をかけて、私達を指差し、そして手を振ってくれた。
後ろを歩いていたお父さんもその事に気がつき、こちらを見た。
また後ろを歩いていた2人の男の子達もこちらを見たが、無反応だ。
気がつかないのだろうか?

キャプテンと私は諦めず、何度も何度も手を振った。
反応を示すのはお母さんだけ。
近くの男の子の肩をたたいては、私達を指差した。
男の子は振り返って私達を見るのだが、無反応。

それを何度か繰り返し、しまいにお母さんは男の子を・・・・、ぶった!?
おい、おい、なんかたたかれてるぞ。」(笑)(キャプテン)
でも、その、コツン、と軽く、ゆっくりとしたぶち方が、とても優しく、滑稽に見えた。
私は思わず笑ってしまった。



2002.08.15

昨日、宮古島から関空へ戻るとき、鹿児島近辺に大きな積乱雲がたくさんできていた。
今日はどうかなぁ?
「キャプテン、今日の鹿児島はどうですかねぇ。 CB(積乱雲)できてないといいですね。」
大丈夫、大丈夫。 オレが飛んでいくとさ、スゥーッと俺の前に道が開けるんだよ。
「ふーん、そうなんですかぁ〜。」
でさ、俺が通った後に道ができるんだよ。
「へぇ〜、スゴイですねぇ〜。」
歴史を作ってきた人間っていうのは、みんな俺と同じで、道を作ってきたんだよ。 えっ、分かる?
「ふ〜ん、どうでもいいです。」
いつもこんな感じのキャプテンの話、まともに聞いていたら疲れてしまう。
適当に聞き流すに限る。

「もし、仮にCBに入ったとしても、きっと、キャプテンが操縦してるのと僕とでは、
 キャプテンが操縦してる方が揺れないんだろうなぁ。」
もちろんそんなわけないのだが、キャプテンがなんて言うか楽しみだ。
バーカ。 CBは誰が入っても同じように揺れるんだよ。
 そんなの当たり前だろ? そんな事も分かんないわけ?

くっそー! 後で絶対、言い負かしてやるぞぉーー!!

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もう何年も前からM−3と呼ばれるBMWを欲しがっていたキャプテン。
お金がないから買えない、とよくボヤいていた。
まだ絶対に買えないでいるんだろうなぁ、と思った私は意地悪で聞いてみた。
「M−3、買いました?」
ああ、買ったよ。
え゛え゛え゛ーーーーーっ!!!!???? マジっすかぁ〜!!??
9月の中旬に納車。
「で、いくらしたんですか?」
そうだなぁ、税金とかいろいろ入れて、全部で950万。
え゛え゛え゛ーーーっ!!?? 950万〜〜〜!!?? 高っけぇ〜〜!!
そうだよ。 500万もローン、組んじゃったんよ。 もう大変。
「で、どのくらい早いんですか?」
リミッターが250km/hのとこについてるから、それ以上は出せないかな。
「250km/hにリミッターですか?!」
ドイツの車はポルシェを除いて、みんな250km/hにリミッターがついてるんだよね。
 スピードメーターなんか、オマエ、320km/hまで目盛りついてるんだぜ。

「げぇー、スゴイですねぇー。 じゃあ、リミッターはずしたらどのくらい出るんですかねぇ?」
さー、よく分かんないけど、280は出るんじゃないの?
「それって、A320より早いじゃないですか?!」
バ−カ、オマエ、何、素人みたいなこと言ってんだよ?
「100km/hまで何秒でいっちゃうんですか?」
確か4秒とかそんなもんだったかな。
「それって、やっぱりA320より速いですねぇ。 しかし、そんなにスピード出して、どうするんですかね?」
オレは時速40km以上出さないって決めてるから。
「じゃあ、買った意味ないじゃないですか?!」

「で、シートなんか、もちろん革張りなんですよね?」
イヤー、それがさ、15万円上乗せになるし、諦めたんだ。
「そんなー、950万も出すなら、あと15万やそこら、もう一緒じゃないですか?!」
そうなんだよ。 でもな、その15万が出せなかったんだな。 もういっぱいいっぱい。
 サンルーフ以外、オプションは全然つけなかったんだ。 やっぱ、サンルーフは諦められなかったんだな。

よーし、ここで意地悪、言わんで、どこで言う〜♪
「オプションが何もないって、
 ひょっとしてパワーウィンドウも、アルミも、パワステも、エアコンもついてなんですかぁ?
 むっちゃ、ださいですねぇーー!!」
バカヤロウ!! んなわけないだろぉ〜がぁ〜!!??

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「キャプテン、大型バイクの免許、持ってます?」
イヤ、欲しかったこともあって、免許取りに行こうかと思ったけど、結局止めたんだ。
「速い乗り物が好きだったら、車なんかよりバイクの方が断然速いですよ。」
ああ、みんなそう言うね。
「第一、どんなに速くて高級なバイク買っても、車よりは遥かに安いじゃないですか?」
う〜ん、それもそうだな。 だけど、怖いじゃん。 事故ったら死ぬじゃん。
 車だったら何とか生きていられるだろ?

「なに、弱っちいこと言ってるんですか? ひょっとして乗り物恐怖性とかですか?
 ジェットコースターとか、ダメだったりして。」
ジェットコースターなんて、あんな怖いもの、誰が乗るんだよ。
 冗談じゃないよ。 しかも金払って乗るなんて、何考えてるんだよ。
 俺だったら金もらっても絶対乗らないね。

う〜ん、なんて意外なんだろう・・・・・。

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帰り際、トイレへ行って用をたし、外にある冷却水で水を飲んでいた。
あー、ヤダヤダ。 デブって、すぐ喉が乾くんだよなぁ。
「なんて失礼なこと言うんですか! 僕は確かに昔はデブでしたけど、今はデブじゃないんですっ!」
そうだな。 でも、デブになりやすい体質は今も同じだろ?
痛いところをつく。
「そりゃ、そうですけど・・・・・。 『今セクシーな元デブ』とでも呼んでください。」
あーあ、何、バカ言ってんだか。 あのさぁ、『デブの3大定義』って知ってるか?
「何ですか? それ。」
『すぐ喉乾く、かまないでメシ食う、冬でも汗かく』、だよ。
 いいか? デブってさ、飯、食うとき、よくかまないで飲み込むだろ?
 思い当たる節、あるんじゃないのか?
 それから、あいつら、すぐ喉乾くよな? ガブガブ、水飲んでばっかじゃん? だろ?

「あいつら、ってなんですか? 失礼ですよ!」
冬、寒いときでも、デブって汗かくんだよなぁ。 ほんと。 どう、当たってないか?
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

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とっても口の悪い、かなりかっこつけのキャプテン。
しばらく一緒に飛んでなかったが、久々の毒舌(もちろん冗談)に、腹をかかえて笑った、笑った。
楽しい2日間だった♪



2002.08.18

中標津に到着して客室へ行くと、客室乗務員(CA)さん達が口々に言った。
この飛行機、蚊がいるみたいです。」(CA1)
あー、やっぱりそうですか? 私、刺されました。」(CA2)
私なんか、顔とここ、刺されました! もう、ひっどいと思いません?」(CA1)
と、目じりの下の、頬の出っ張っている所を指差し、
その後・・・・・、な、なんとスカートの上から膝上15cm程度の所(内股〜♪)を指差した!
ここですよ、ここ。」(CA1)
イヤ〜ン、いやらしいぃ〜。」 (CA2) と、あるCAが言った。
ウォ゛ォ゛オ゛オ゛ーーーッ!! 蚊になりてぇ゛ぇえ゛えーーーーっ!!、と思ったのは私だけだろうか?

指差されたものの、私は目のやり場に困ってしまった。
これって、ジッっと見たら、セ・ク・ハ・ラ?

それって、ダニなんじゃないの?」(キャプテン)
イヤ〜ン、ダニですかぁ〜?」(CA1)
そういえば、私、お客さんをが入ってくるとき、このカーテンの真横に立っていたので、
 このカーテンが怪しいかもしれないですぅ〜。
」(CA2)
黄色い声の嵐に、私はちょっとだけ ハッピ〜♪ だった。

松山に到着して客室へ行くと、先ほど顔と内股を蚊に刺されたCAさんと目が合った。
「あれぇ? 目と目との間、蚊に刺されてますよ。」
機内の壁にかけてある鏡に走っていき、彼女は顔をチェック。
イヤ〜ン、ほんとだぁ〜。」(CA1)
まさに、目と目のど真中、黒目の中心と同じ高さの所をみごとに蚊に刺されていた。
クヤシ〜! こんなところ刺されてるのに視野に入らなかったなんてぇ〜。」(CA1)

それにしても、乗客満席で、千歳 → 松山 を2時間かけて飛んだのに、
なんで同じCAばかりが蚊に刺されたのだろうか?
蚊がいるったって、そんな何十匹もいるわけないし、
お客さんを刺しまくっていたら、お腹はすぐにいっぱいになってるはずで、
同じCAが2度も3度も刺されるわけがないと、私は思う。
よっぽど彼女の血がおいしかったのだろうか?

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松山から関空へ向かった。
関空到着予定時刻は18:55。 関空の今日の日の入りは18:45。

台風に伴ったスパイラル状の雲の端の部分が、丁度、紀伊半島から関空、四国沖にかかっていた。
私達はその雲の下をくぐるように 13,000feet を飛行した。
松山上空は台風の外にあたり、上空は雲の無い良い天気だ。
そこから東に進むに従って、黒い雲に接近していった。

高松の手前あたりだっただろうか。
コックピットの左の窓を見ると、低く垂れこめた黒い雲の下から、地上に向かって伸びる短い虹が見えた。
虹は本来細長く弧を描くはずだが、雲と地面の距離があまりにも接近しているため、正方形だ。
変な形だ。

キャプテンが言った。
丸い虹、知ってる?」(キャプテン)
「虹が丸い、ってどういう事ですか?」
言葉通りだよ。 半円じゃなくて、円になって空中に浮いてるんだよ。」(キャプテン)
「本当ですかっ!?」
過去に一度だけ見たことがある、とキャプテンは言っていた。

コックピットの右の窓の外を見ると、そこには先ほどの虹と同じ形状の正方形の虹を発見。
もしかして、この二つの虹、つながってるのかなぁ?」(キャプテン)

飛行機が東に進むにつれ、垂れこめた雲の底の部分が高くなり、地面との距離が離れると
正方形の虹は細長くなり、弧を描き出した。
雲の下からは霧雨が降り、灰色のカーテンのようだ。
次第に雲と地面の距離が広がり、虹の弧は長くなり、
左右の虹は互いの弧の延長線上に位置することが見てとれた。

んっ? ・・・・・・・・・。
左右の弧と弧が上でつながり、その端をたどっていくと・・・・・・、
なんとっ!下もつながっているではないかっ!!??

「キャプテン、これ、円になってますよ!」
ほんとだ! これだよ、これ。 さっき言ってたのはこれのことだよ。」(キャプテン)

空中に浮かび上がった真円の虹は、灰色の霧雨のカーテンに浮かび上がっており、
後から夕日に照らされていたのだ。
なんとも美しい光景だ。
そこは徳島の西、20kmほどの場所だった。

この虹、飛行機と一緒に動いてるよ!」(キャプテン)

私達は丸い虹の中心に向かって飛行しており、
虹は飛行機が進むと、飛行機と同じ間隔を保つように、逃げるように前進していく。
ワァーオ♪

しばらくすると、丸い虹の外側にとても薄い虹ができてきた。
2重の虹の円だ!

関空はめずらしくアプローチしている飛行機が全くいなかったようで、
ATCとカンパニー、両方の無線で話しをするものは誰もいない。
静寂の中、私達は虹を眺めた。

日が沈むにしたがって西から照らす夕日が除々に薄くなり、霧雨が濃くなるにつれて虹は薄くなり、
そして消えた。

約2分間程の間、とても幻想的な光景を見ることができて、本当に感激だった。



2002.08.22

先日、朝早く目が覚めてしまい、月末でやり残した仕事を済ますために会社へ行った。
5時に起きてしまったし、朝は涼しいし。
この時間帯にバイクに乗るのは気持ちが良い。
また、袖の無いヨレヨレのシャツに、短パン、サンダル姿で会社に行くなら、誰もいない時間帯がいい。

伊丹空港へは予定通り6時過ぎに到着。
職員専用通路を通るために必要なIDカードがしまってある部屋へ向かった。
しかーし、ドアのキー番号をど忘れしてしまった!

仕方が無い、事務所に誰かが出勤するまで待つことにした。

ベンチで新聞を読んでいたが、目を上げると視界に、ケータイでメールをしている見なれた服装の女性が見えた。
うちの客室乗務員(CA)だ!
ラッキ〜♪
助かった♪

私の身だしなみは最低だったが、キー番号を教えてもらうためには仕方ないので話しかけた。
彼女は私の姿にかなり驚いていたようだったが、笑顔で教えてくれた。

今日、便乗で 高知 → 関空 に乗ったとき、先日のCAさんが乗務していた。

「こんにちはぁ♪ 先日は助かりました。 ひどい格好を見られてしまって・・・・。」
そうでしたねぇ〜。 驚きましたよ。 なんか、まるでこれから昆虫を取りに行くような格好でしたねぇ。」(CA)
「昆虫採取?ですか? イヤァ〜、私は夏はどこへ行くのもあの格好なんですよ。
 実家にいた頃は、あの格好でチャリに乗って渋谷を走りまわってました。」
へぇぇええ・・・・・・・・。」(CA)

どうやら、また余計なことを言ってしまったようで、CAさんはどう反応して良いのか困惑しているようだった。

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女満別 → 関空(214便)

18:40に離陸し、6,000feet を過ぎて薄い雲の上に出ると、
夕日が沈み行く西の空に、ひときわ明るい星?が見えた。
イヤ、星にしては明るすぎる。
日は沈んだが空はまだ明るく、他には一つも星は見えない。
飛行機かなぁ?
金星かなぁ?
人口衛星かなぁ?

あそこにあるの、金星かなぁ? 人口衛星かなぁ?」(キャプテン)
どうやらキャプテンも私と同じ事を考えていたようだった。

函館の上空にさしかかる頃、辺りは夕闇に包まれていた。
函館の町の夜景の光りと、町の沖合いの40隻程のイカ釣り漁船の明かりがまぶしいほどだった。
それにしても、28,000feet を巡航中、函館の町、全体の明かりと、
40隻の漁船の明るさの合計が、同じ明るさに感じるとは、驚きだ!

鳥取にさしかかると、日本海の海岸線に沿って見渡す限り、イカ釣り漁船だった。
漁師さん、ご苦労さんです。
大量だといいですね♪




2002.08.26

キャプテンは、来月に車の車検と学資保険を控えているらしく、
お金がないからどうしよう、と悩んでいた。
私は今年、バイクと車の車検、車の保険、税金等に約35万円も払う羽目に合った。
普通だったら払わなくてはならない車の修理代、5万円は
知り合いの整備さんが親切でおまけしてくれたから良かったものの、
それも払っていたら40万円もしていた。
恐ろしい話だ。

オレ、前回はユーザー車検やったから10万円で済んだんだよなぁ。 今年もそうすっかなぁ。」(キャプテン)
「随分、安くあがるんですねぇ!」
そうだよ、車検ってボッてるさ、絶対。 いらんとこイジッちゃぁ、金とって。
 あんなシステムなくなればいいのに。
」(キャプテン)

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千歳 → 新潟 へ向かう途中、秋田の北、約20kmの場所で、
28,000feetを飛行中の私達のすぐ下を、左から右へ横切る飛行機を発見した。
距離が接近していくにしたがい、その飛行機がはっきり見えてきたが、形がどうもおかしいのだ。
「なんか、あの飛行機、形が変じゃないですか?」
そうだね。 旅客機ではなさそうだね。」(キャプテン)

旅客機であれば、それがジャンボか、トリプルか、MDか、B737か、
確実に種類が認識できるはずの距離になっても、まだ分からない。
どこが前で、どこが後ろなのか、翼がどれなのかも分からないのだ。

「まさか、あれってUFOですかねぇ〜♪」
そんなわけないでしょ。」(キャプテン)

私達がその飛行物体に追いつき、私のすぐ右手に見えたときに、それがなんであるかようやく分かった。
丸い円盤をしょっている飛行機だ!
昔、写真で見たことがある。
背中に丸い円盤をつけた軍用機で、たしかアンテナだったか、レーダーだったか。

誰かが円盤について説明してくれたっけ。
爆撃機に上から爆弾を落とされた時、あの円盤を使って跳ね返すんだよ。
「へぇ〜、そうなんだぁ〜。」
まんまとだまされた私だった。



2002.08.27

昨日は新潟ステイだった。
本屋さんで知恵の輪を見つけた。
大阪の本屋さんでも見かけたことがあるメーカーなので、きっと流行っているのだろう。
「キャストパズル」と呼ばれるもので、自由に遊べるサンプルが置いてあった。
早速チャレンジしてみたが、どうやってもはずれない。
こんなのできるわけないじゃんかよっ!と思いながらも、できないと異様に悔しい。
思わず難易度3の「キャストスター」を買ってしまった。

よ〜し、これをはずすことができたら、このパーツを使って銀で鋳造して、
そしたら、いいオブジェになるかも・・・・。

ホテルに戻って色々試してみたが、結局ダメ。
ステイに持っていくカバンに入れておけば、暇潰しにいいし、できない方がいいか。
そう自分に言い訳をして数時間後に諦めた。

今日は千歳ステイ。
ホテルの部屋でキャストスターを手に取り、はずれる可能性のあるポジションに持っていった。
昨日もこれは試してみたけど、はずれなかったよな。
でも、どう考えても、これ以外にはずせるわけないんだけどなぁ・・・・・。
力を入れたってはずれるわけないよな、とちょっと手に力を入れると、
カチッとはずれたではないかっ!!

て゛き゛た゛ぁ゛ぁ゛あ゛〜 〜 〜 っ !!??

すぐにはめ込もうとしたが、て゛き゛な゛ぁ゛〜 い゛〜 っ !!??
く゛っ そ゛ぉ゛ぉ゛お゛お゛〜 〜 〜 っ !!

まぁいいさ。
泊まり先では時間はいくらでもあるさ。
みておれ!
と、本当は勉強しなくてはならない本を横に押しやり、知恵の輪にはまってしまう私だった。

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すぐに飽きる私は、今度は知恵の輪を横に押しやり、
本を読みながらパソコンでノートを作ることにした。
退屈なので知恵の輪よりもすぐに飽きてしまう。
するとなぜか腹が減ってくる。

古くなって値下げしてあったニンジン3本(70円)、キュウリ7本(100円)、大根1本(80円)
の入った買い物袋が床に転がっている。
こいつらを持ってホテルのロビーを通過するのには、かなりドキドキする。

明日までに全部、食えるかなぁ・・・・・。
どれから食べよう・・・・・。
ひょっとして大根、辛いかなぁ?
あんまり辛いと、胃が痛くなるんだよな。
よし、試してみよう。

大根を手に取り洗面所に行く途中、ノートに書き足すべきことを思い出し、机に戻った。
思いついたらその場でしないと、すぐ忘れてしまう。
そして思い出せない。
大根を脇にはさみ、両手をフリーにしてパソコンに入力した。
ふと、目の前の大きな鏡に目をやると、そこにはホテルの浴衣を着たおっさんが、
大根を小脇にかかえてパソコンに向かっている姿があった。

それは、限りなくダサ〜イ姿だった。

ベットの上に投げ出してあるステイバッグの中からアーミーナイフを取り出し、洗面所へ向かった。
流しで皮を剥き、ガブリっ!
う〜ん、ちょっと辛いけど、まぁ、少しずつ食べればきっと胃は大丈夫だろう。

若干、胃をジンジンさせながら、私は再びパソコンに向かった。



2002.08.28

一昨日、昨日と一緒だった客室乗務員(CA)さんに、ステイ先での服装を目撃されてしまったのだが、
それが彼女達の間でうわさになっていたようだった。

ずっと短パン姿だったが、北海道での泊まりもあったので、今回は長ズボンを用意した。
とはいっても、かなり古い代物。

8年程前、オーストラリアでの訓練が終わり、帰国前に同期が捨てようとしていたエレッセのジャージのズボンだ。
白いということもあり、裾の部分は洗濯しても茶色い汚れが落ちない。
それでもまだ着れるし、もったいないので未だに捨てずにいる。
ウエストの紐が切れてしまい、新しいものを通そう、通そうと思いつつ、家に帰ると忘れてしまい
緩くなったゴムだけでウエストに止まっている。
小銭がつまった財布をポケットに入れて歩くとき、
ポケットに手を入れて財布を持っていないとズボンがずり落ちてきてしまうのが難点だ。
私は、ステイ先で履く長ズボンは、A320に来て以来、この一枚で5年間は通している。
月に9泊は外泊していて、1年のうち9か月、このズボンを履いているとすれば、なかなか働き者のズボンだ。

それに、確か学生時代から持っているであろう、いつ買ったかも覚えていないTシャツを着ているのだから、
私的にはきれいな格好なのだが、他人的には知り合いとは思われたくない存在かもしれない。

一昨日、新潟でCAさんに目撃されたときは私も気がつき、
会釈して早歩きで遠のいたが、逃げたのはバレていたようだった。
そして、昨日、別のCAさんに目撃されてしまった。

うわさしていたんですよ♪ 体育の先生みたいだって。
 首から笛をぶら下げていたら、完璧なんですけどねぇ〜♪
」(CA)
「そうっすかぁ〜。 じゃあ、今度100円ショップでゲットして、ぶら下げとくかなぁ〜♪」

声をかけてくれるのだから、きっとまだ、汚すぎる、と思われているわけではないのだろう・・・・・。

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今日はお昼から夜までの勤務。
お昼と夜に弁当がついているパターンだ。

お昼のお弁当には直径2cm程の、球状のナスの漬物が一つ入っていた。
私はナスの漬物が大好物だ。
ご飯を一口パクッと口に入れてから、ナスの漬物をほおり込んだ。
う〜ん、この味がたまらん、とまらん、プリングルス〜♪

夜のお弁当を見ると、なんとっ!、またまたナスの漬物〜♪
しかも今度は3個も入っている〜♪
他のおかずはさておき、まずはご飯を一口パクッと口に入れてぇ〜、ナスの漬物をほおり込みぃ〜♪
げぇえぇえええぇぇぇええ〜〜〜〜〜っ!!!???
ブドウじゃんかよぉ〜ん!? 号(┳◇┳)泣
しか〜も、種、思いっきりかんじまって砕け散って、飲み込むしかぬわぁーい!
甘いし、ジャリジャリいうし、最低だゼイ。



2002.08.30   思い込み

10日程前のこと。
会社で便乗用の航空券を手渡された。
月末の分まであったので、スケジュールを調べると伊丹の事務所に出頭して航空券をもらえるのは、
その日が最後だったのだ。
つまり、あとは関空出勤、ということだ。
伊丹で仕事が始まるときは、20分前に家を出れば間に合うが、関空だと1時間40分前だ。
やはり関空出退勤は嫌いだ。

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一昨日のこと、26日から3日間、一緒だったキャプテンに聞かれた。
このパターン終わったら、次の勤務は?」(キャプテン)
「単休の後、1泊で高知ステイです。 でも、417便だけの勤務なので、楽です。」 (注:417便は伊丹出勤)
2泊のパターンから帰ってきて、1日休んで、また泊まりのパターンは辛い。
でも、夕方18:30に出勤して、1便飛んで終わり、というラッキーなパターンなら、それほどイヤではない。

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今朝、「花まるマーケット」を見ていると、回転寿司についてやっていた。
お寿司って意外とカロリーが高く、一皿 200kcal 〜 100kcal。
一皿 200kcal のものばかり食べると、5皿で 1000kcal もする。
成人の男性で、1食800kcalも食べれば普通は充分だが、回転寿司へ行って4皿しか食べない男性はめずらしい。
女性で3皿以下でお腹がいっぱいになる人はめずらしいだろう。
さらに、ケーキやら、アイスやら、まんじゅうやら、ああいった類に手を出すと、さらに状況は悪化する。
安いからって、バクバク食べると大変なことになるんだなぁ、と妻と話し合った。
ところが広告の効果はすごいもので、話し合うと同時に、やたらと回転寿司が食べたくなってしまった。
そんなわけで、勤務は夕方からだし、お昼は回転寿司へ行くことになった。

前回行った「くら寿司」にしても良かったが、「くら寿司」は全皿100円、隣の「スシロー」は一皿65円のものもある。
今回は「スシロー」をトライすることにした。

回転寿司は、目の前を通過していく寿司を見ていると、次から次へと皿をとってしまい、
すぐお腹がいっぱいになってしまう、という法則がある。
これでは家畜と何ら変わりは無い。
どんどん胃に詰め込ませて、とっとと客を帰らせて回転を上げる。
寿司が回転しているのではなく、私達、客が回転しているのであり、踊らされているのだ。
今日は、こんな低脳な人間にはならないぞ、おーっ!、と妻と作戦会議をし、固く固く誓った。
そして1時過ぎに「スシロー」に到着。
テーブルに座ると早くも視線はベルトコンベヤーに釘付けだ。
妻が何か私に話しかけているが、そんなことはうわの空〜♪
クッソーっ!
またもや回転寿司の機械を開発した人の思う壺だぞぉ〜〜!!
よっしゃーーーーー!!
食うぜぃ〜〜〜!!
早くも錯乱状態になる私。

こういうとき、フッ、と急に不安になる。
もしかして、勤務、勘違いしていないだろうか?
早く出勤しろ、との催促電話が会社から家にかかってきてはいないだろうか?
今日は417便で 伊丹 → 高知 だったよな?
そうだ、確かにそうだ。
今日は、どこステイなの?」(妻}
「高知だよ。」
そうだ、高知ステイだ。
今日のパターンは本来、伊丹 − 佐賀 を往復した後、417を飛ぶパターンだが、
きっと審査か何かが入って、誰か別の人が 伊丹 − 佐賀 を飛んでいるのだろう。
だから私は417だけの勤務なのだ。
そうと分かっていても、一度気になりだすと、気になって仕方が無い。
大丈夫よ。 今日は夕方からの勤務だったはずよ。」(妻)
妻もそう言ってくれるのだから、きっとそうなのだろう。

妻が好きなものを取り、私が半分食べる。
そうすれば妻はお腹がいっぱいになるまでに、
一皿全部自分で食べた場合より2倍の種類のお寿司を食べることができる。
幸いなことに、妻が好きな寿司の種類と、私が好きな種類とは一致しているので、ケンカになることはない。
エビマヨネーズの軍艦巻き、ツナマヨネーズの軍艦巻き、カニマヨネーズの軍艦巻き、
ロブスター&マヨネーズの軍艦巻き、キムチあえイカの軍艦巻き、エビ天の寿司、等々、
およそ本当のお寿司では出てこないようなものばかりが好きなのだ。
そういった種類の約半分は、一皿65円だからかな〜り嬉しい。
私達って、きっと、本当の意味でお寿司が好きなわけではないんだろうね♪」(妻)
さらに私一人で、牛塩カルビのお寿司を食べてご満悦〜♪
唯一お寿司らしいものといったら、小さなイカを丸ごと開いたお寿司ぐらいだ。
お皿が隠れてしまうほど大きな胴体、足、全て乗ったお寿司が2巻で100円なのだから嬉すぃ〜♪
形がリアルすぎて気持ち悪いのか、誰も手を出さないので、私が一人で3皿全てたいらげた。

それでも、今日は随分とセーブしたような気がする。
二人で100円の皿11、65円の皿6、味噌汁一つで1600円程度だった。

ただのお茶を何杯も飲み、時間を潰した。
「もう少し、ここにいる? それとも家に帰って、1時間ぐらい昼寝しようか?」
夕方まで時間があるし、本屋へ寄ろうか、バイク屋へ寄ろうか、色々考えたが、
TSUTAYA でビデオを返してまっすぐ帰ることにした。

帰宅と同時に、とりあえず今日のスケジュールをチェック。
おお、やっぱりそうだ。
17:00に出勤すればいいんだな・・・・・?
あれっ?
18:00じゃなかったけ?
417便は・・・・・・。
んっ?
273便? って・・・・、松山じゃん!
これって、関空発じゃないかよーーーー!!!!
げぇえぇえぇええ〜〜〜〜!!??
今、、何時? 15:00?
おぉおぉ〜〜、セーフ、セーフ。
バスは、バス、バス、何分発のバスがある?
15:48尼崎発、ってことは15:20に家を出ればいいな。
シャワーを浴びる時間あるかなあ・・・・・。

今日は朝からフレームが黒い姿見(鏡)を白く塗装する作業をしていた。
2度塗り終わって、会社に行く前にもう1回塗っておきたかったのだが、その時間はありそうだ。
ペンキとハケを持って塗装を開始し、3分で終了〜。
ハケを洗って、、、、、、そうだ、まだステイバック用意してないじゃん!
カバンにTシャツと短パン、靴下にパンツ、パソコンを叩き込んで、シャワーに入った。
出てきたらすぐYシャツに着替えて、ネクタイ閉めて、靴下履いて、
って、これ、かかとにでっかい穴が開いてるじゃんかよぉぉ〜〜!!

そんなこんなで、バタバタしたが、なんとか家を予定通り15:20に出て、
無事、15:48発のバスに乗ることができたのだった。

めでたし、めでたし。