2003.02.05

GOOD LUCKの第2話があった2日後、私は日記を書いていた。
約2時間ほどかけて書いたので、かなりの量を書くことができた。
シグマリオンで書いた日記を、赤外線でVAIOに転送しようとしたところ、
誤って操作をしたために全て消去されてしまった。
あのショックからようやく立ち直りつつある。

2時間といえば、私がキーボードを打つ速度から考えると、相当の量だ。
しかも、かなりおもしろいネタがあったので、書きながら思い出し笑いしていた。
更新することを自分でも楽しみにしていたのに・・・・。

GOOD LUCKの第2話があった次の日、私は客室乗務員(CA)に、
キムタクが入れたアナウンスと全く同じ内容のアナウンスをするように頼まれた。
どうしようかなぁ、という雑念が頭にあったせいか、アナウンスはしどろもどろになってしまい、大失敗だった。

翌日、そのことを反省し、もし次に同じような機会があったら、何をどうしゃべれば良いのか色々考えていた。
すると、前日と同じCAさんとたまたまた乗務することとなり、再びリクエストがあった。
もちろん、あんなキザなことを言えるわけもなかったので、内容はアレンジした。
だが、アナウンスの最後にこう言っておいた。
「最後に、この一言だけは客室乗務員から必ず言うように、との
 強い要望がありましたので、あえて言わせて頂きます。
 GOOD LUCK。
 どうもありがとうございました。」

アナウンスを終え、反響がどうだったか心配だった私は、すぐにインターフォンでCAさんを呼びだしたが、
お客さんからはバカウケで、笑いと拍手が湧き上がったそうだった。
しかも、そのベテランCAさん曰く、アナウンスが終わってから拍手をもらったのは、私が初めてだったそうだ。

乗務を終えてコックピットを出ると、CAさん4名が私を待ちうけていて、みんなが笑顔で向かえてくれた。
トイレに立ったお客さんが、CAさんに声をかけた。
この飛行機、おもしろいね♪

かなりドキドキしたが、アナウンスを入れて良かったぁ〜、と心から思った。
それと同時に、もっとこう言えば良かったかな?あんなこともしゃべっときゃば良かったかなぁ?
と、反省したり後悔したり、色々なことが頭の中を駈けめぐった。

こういった内容を詳細にわたり書き綴り、他にも笑えるネタが山ほどあったのだが、全て消えてしまった。
もう一度書き直すのは辛いので、諦めることにする。



2003.02.07   大人のお使い 1 (ギョウザ・コロッケ)

関西スーパーへ行った。
別に何を買うか決めて行ったわけではないのだが、惣菜のコーナーで妙なものを発見。
「ギョウザ・コロッケ」 ??

試食できるように、細かく切って皿に盛ってあった。
辺りを見回すと、誰もいな〜い♪
爪楊枝の一番端っこを持ち、小さなギョウザ・コロッケなるものを何個も串刺しにして、
いっぱいいっぱいのところで口にパクッと放り込んだ。

オイッピィ〜〜〜〜ッ!!??♪♪

買っちゃおうかなぁ?
でも、ケースに5つも入ってるぞ。
これって、絶対多いよな。
買ってったら、きっと一度に全部食っちまうんだろうなぁ〜。
どうすっかなぁ・・・・・。

やっぱ、や〜めたっと。

しっかし、最近、オレって偉いよなぁ〜。
だって、脂っこいもの大好きなんだけど、我慢してるもんなぁ〜。
イヤイヤ、この前、「コロちゃんのコロッケ屋」さんで、通常価格5個で250円のメンチカツが
5個200円で売ってて、思わず買っちまったけど、あれは魔がさしたんだなぁ〜。
そうさ、そんなに意思弱いわけないじゃ〜ん♪

ギョウザ・コロッケのコーナーを素通りし、他の惣菜達が値引きされているのを物色。
あぁ〜、みんな 「食べてぇ〜」 って訴えてる感じぃ〜。

へッ???

色々な種類のコロッケ達が並んでいるコーナーに来ると、
そこにはさっきの 「ギョウザ・コロッケ」 が居るではないくわぁぁあ〜〜♪
これは、きっと運命だな。 ウン、ウン。
2個買って帰ろ〜うっと♪
1個は妻にあげて、と。 そうすればいいな。
イヤ、待てよ。 妻は 「半分でいい」 って言うかもなぁ〜。
そうすれば1個半も食べれるのかぁ〜〜〜♪

レジで会計を済ませ、メッチャ嬉しく、幸福感いっぱいで関西スーパーを後にした。

10mほど歩いて、私は立ち止まった。

そういえば、5個 「ギョウザ・コロッケ」 が入ってたケースには、専用のタレが入ってたなぁ〜。
あれ、付けてくれないかなぁ・・・・・。

再び関西スーパーに引き返し、コロッケのコーナーへ行くと、
運良く調理場のおばちゃんが、出来上がったばかりのコロッケ達を追加に来ていた。
おばちゃんには好かれるんだなぁ〜。 なにせ、おばちゃんキラーだからなぁ〜〜。
笑顔を見せれば、きっとゲットできるゼイっ!

「あのぉ〜、すみません。(満面の笑みで)
 さっき、ギョウザ・コロッケをバラで買ったんですけど、タレが付いてなかったんですよ。
 せっかくならおいしく食べたいし、1つ、タレをもらえませんか?」
ちょっと待っててネ。 持ってきてあげる♪」(おばちゃん)
「ありがとう♪」

うぉぉ〜〜、なんて優しいおばちゃんなんだ。
大きなマスクして、髪の毛がはみ出ないように帽子かぶってたから顔が見えなかったけど、
きっとナイス・スマイルだったんだろうなぁ〜〜。

しばらくすると、おばちゃんは調理場からタレを持って出てきた。
「どうもありがとう♪」

チャリを飛ばし、速攻、家に帰った。

「珍しい味のコロッケ買ってきたぞぉー。」
へぇー、何味? チーズフォンデュ?」(妻)
「食べてからの、お・た・の・し・み♪」

袋から取り出すと、まだ温かい!
これは、今すぐ食べなきゃ。

お皿に1つだけのせ、おばちゃんにもらった専用のタレをかけ、そして、
パクッ!
??????????????????????????

ぬわぁぬぃぃいいいいいいい〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!???????
これって、単なる牛肉コロッケじゃんかよぉ〜〜! 号(TT▽TT)泣
なんでだぁ〜〜〜????
そっかぁー。
陳列棚の 「ギョウザ・コロッケ」 のマークの上のコロッケを買ってきたけど、
ホンモノの 「ギョウザ・コロッケ」 はマークの下だったかぁぁぁああーーーっ!!!
クッソォーーーッ!!
上段(じょうだん)じゃなくて下段だなんて、冗談(じょうだん)じゃないぞぉ〜〜!!
でも、今更、返品できないし・・・・。

「フェェエエ〜〜〜ン。 間違って、違うの買ってきちまったよぉ〜〜ん!」
エ? 何を買ってきたの?」(妻)
「牛肉コロッケ。 本当はギョウザ・コロッケを買うつもりだったんだなぁ〜。
 うまかったなぁ〜。 オレ、もう一回買いに行ってくるわ。」
止めとけば?」(妻)
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

意思の強〜い私は、もう一度関西スーパーに行く、なんていうヤボなことをしなかったのだった。

こうして、「ギョウザ・コロッケ」 は幻となった。

オシマイ。



2003.02.10     大人のお使い 2 (ギョウザ・コロッケ2 & きなこのおはぎ)

またまた夕方、スーパーへ向かった。
妻は、ついでにきなこのおはぎを買ってくるよう、リクエストした。
オォ、いいゼイ!

関西スーパーの値引きされた惣菜を物色していると、1個50円でギョウザ・コロッケを発見〜♪
よっぽど人気があるのだろう。
でも、昨日、牛肉コロッケ2個、買っちゃったし、やめようかなぁ・・・・。
そばの棚を見ると、3個150円でパックに入っている。
しかも、専用タレつきだ。
う〜ん・・・・・。
さらに、向こうの棚を見ると・・・、んっ??
5個入りのケースが・・・、178円〜〜〜??!!
250円から値引きされてんじゃん!
しかも、これが最後の1ケース。
これは、きっと神様のお恵みじゃぁぁぁあああ〜〜〜〜〜!!
一瞬のためらいもなく、その5個入りケースを持ってレジへ直行した。
5個で178円ってことはだよ、1個あたりいくら??
んんーーーー、計算できん。
3個は50円で買って、あと1個は28円で、最後の1個がタダってことね〜〜♪
イヤァ〜〜、2個が14円っていうのも嬉しいなぁ〜〜♪

家に速攻帰って、レンジでチンして妻に試食させた。
ふーーん・・・・。 おいしいけど、私は普通のコロッケの方がええわ。」(妻)
ぬわぬぃ〜〜〜ッ!!??
せっかく買ってきてあげたのにーーーー!!
あっ、でも、ほとんど自分のためね。

ところで、私のおはぎは?」(妻)

アッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

スーパーを出て、左斜めにある 「丹波屋」 の前を通る。
そこで買うように指示があったのだが、通過してしまったのだった。



2003.02.11     大人のお使い 3 (きなこのおはぎ2)

いつも使っているトニック・シャンプーも切らしているし、おはぎを買いに商店街へ行くか。

商店街の入口に 「丹波屋」 はある。
全ての買い物を済ませてから、最後におはぎを買った方が、荷物にならないし、暖かいまま持って帰れる。
でもなぁ、きっとまた忘れて帰ってしまうような気もするし・・・。

「すみません。 えーっと、何を買うんだったっけ?
 (ポケットの中からメモ書きを取り出し)
 そうそう、きなこのおはぎ、ありますか?」
ハイ。」(店員)
「それを3個包んで頂けますか?
 買い物が終わったら、帰りに取りに来ますので・・・・・。
 あっ、でも、ひょっとすると忘れるかもしれないんで、見かけたら声をかけてください。
 昨日も忘れて素通りしてしまいました。」

さてと、トニック・シャンプーだな。
1軒目のドラッグストアーに入った。
698円? たっかぁ〜〜。 おまけに、洗顔料なんかついてるぞ?
こんなものいらないから、もっと安くしろよなぁ〜。
確か、最安値は398円だから、かなりの予算オーバーだ。
せめて498円ぐらいでないかなぁ・・・・。
マイナーなシャンプーだから詰め替え用もない。

2軒目のドラッグストアーでは、おまけなしでトニックシャンプーだけを売っていたが値札がない。
「これ、いくらですか?」
498円です。」(店員)
おっ、ラッキー!
シャンプーを持ってレジへ向った。
えーっと、消費税込みで・・・、あっ、スミマセン。 598円の間違いでした。」(店員)
ヌワニィィ〜〜〜〜〜!!!????
う〜〜〜ん・・・・、えーい、しゃーない、買うか。
本当に申し訳ありませんでした。」(店員)

もうっ! ぬか喜びさせて。
隣のドラッグストアーにも寄っていこう。
もし、安かったら、これは返品すればいいか。

しかーし、隣には置いてなかったのだった。

さて、スーパーへ戻った。

で、何を買うんだったけ?
メモを取り出してチェッキット。
ヨーグルトと食パンを買うように頼まれてたんだっけ。
ちょーっと、待った。
半額でお肉が売ってるかもしれないから、一応見ておこう。
でも、今日は休日だし、あんまり安売りしてないだろうなぁ・・・・。
予想通り、100g99円を切る豚ちゃん、牛ちゃんはいなかった。

さーて、帰るか。
あれっ? 何しに来たんだっけ?
おっ、そうそう。 頼まれてたものは、っと。
何だったけ?
再びメモを取り出した。
そうそう、ヨーグルトと食パンね。
ついでに50円引きの低脂肪牛乳も買っておくか。
それと、キムチもね。

さーて、買い物も終わったし、帰るかぁ〜〜。

すたこら、すたこら、駐輪所へ歩いていくと、
お客さん! お客さ〜〜ん! お客さん〜〜〜っ!!

んっ??
ずっと後ろの方から聞こえてくる声に、何気なく振り返ると、
「丹波屋」 の店員さんが私に手を振っていた。
お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ーーーーー!!!
危ない、危ない。 また忘れるところだった。

「すみませんーん! すっかり、完璧に忘れてました。」
イエイエ、いんですよ。 私もすぐ忘れる方なんで♪」(店員)

おぉーー、フォローまで入れてくれて、なんて優すぃーんだ!

もちろん、妻にしこたまバカにされたのは言うまでもない。



2003.02.14  バレンタイン・デー♪

今日の勤務は、関西 → 羽田 のフェリーフライトをしてから、羽田 → 伊丹 の便乗で終わり、の予定だった。
ところが昨晩、会社から電話がり、スケチェン(スケジュール・チェンジ)があり、
フェリーの前に 関空 − 宮崎 の往復がついた。

フェリー・フライトとは、飛行機を空で運ぶことであり、お客さんが乗っていない、
イコール、客室乗務員(CA)が乗っていない、ということだ。
スケチェンが決まって、最初に妻が言った言葉は、「良かったやん。 チョコ、もらえるかもよ。」 だった。

昔は、もてなかった時代が長かったため、チョコが欲しくて欲しくて仕方なかったが、結婚してしまえばどうでもよくなる。
今日がバレンタインであることすら忘れていたのだが、妻にそう言われると、やっぱり
チョコ、もらえるかなぁ、と期待してしまうのが愚かな私達男性だ。
そうは言っても、かれこれ8年ほどパイロットをしていて、
CAさんにチョコ(義理)をもらったのは、確か、1回だけだったような気がする。
さらに、私生活でもチョコをもらったためしがほとんどない!
産まれてから今まで、もらったチョコの合計は5個はないような気がする。
そのうち1回は小学校時代だからなさけない。
そんなわけで、今日、チョコをもらえるなどとは全く思っていなかった。

関空でCAさん達がいっぱいいる事務所に寄り、ディスパッチへ行ってからまた事務所へ戻る。
それから飛行機へ移動し、コックピットに乗りこむと、そこにはチョコが置いてあった♪
サンキュー♪ グラスィアス♪ メルスィ〜♪ ありがとないっ♪
う〜ん、やっぱり嬉しいものだ。
もちろん、CAさん達に丁重にお礼を言った。

そうさなぁ。 死ぬまでに、生涯の合計で、チョコ、2桁もらえたら幸せかなぁ・・・・。

とっても久しぶりに宮崎へ行った。
20,000ftから上の高度は揺れて、どこもあまり良くは無かったが、青空が広がっており、気持ち良かった。
宮崎へは海の上からのアプローチで、これまた気分が良い。
宮崎の手前、60kmほどのところで、シーガイヤが見えた。
そういえば、あそこは外資に買収されたんだったけ?
お客さん、来てるのかなぁ・・・・。
そんなどうでも良いことを考えながら、満席マイナス1名のお客さんと共に、宮崎空港に着陸したのだった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

スケチェンになったおかげで、朝は5時30分に起きるはずだったが、昨晩20:00にベッドに入ったせいか、
2:50に目が覚めてしまった。
それから布団の中でウダウダすること約1時間。
ダメだ。 寝れない。
昨日の夕刊と、買って放置してあった少年マガジンをベッドの中で読んだ。
5:00を過ぎて玄関の電気をつけ、朝刊を取り、戻ってくると、リビングの電気がついていた。
ありゃ、妻が起きてる。
部屋に入ると、テーブルの上にチョコを発見!
おぉ〜、ありがとう♪
んっ??
息子のベビーベッドにもチョコが置いてあった。
「あれぇー? お父さんのより、大きいんじゃないのぉー?」
そんなことないよ。 それに、パパの方が高級だったんだよ。」(妻)
「でもさぁ、息子は4kgで、オレは体重が20倍近くあるわけだから、チョコも大きさ20倍あってもエエんじゃないの?」
ムチャクチャなことを言ってるなぁ、と分かっているが、息子を妬んでしまうパパ。

妻は息子に母乳をやりながら私に言った。
シンちゃんのチョコ、開けてくれる?」(妻)
「どうすんの?」
私が食べるの。」(妻)
「オイオイ、おまえが食べるんかい!」
だって、シンちゃん食べられないでしょ?」(妻)

それは小さなテディー・ベヤの形をしたチョコ達だった。
うぅ〜ん、可愛いチョコだなぁ。
大きくなったら、チョコを沢山もらえるようなかっこいい男の子になるんだよ〜♪



2003.02.19

早朝の 関空 → 松山 は寝ているお客さんが多い可能性もあり控えたが、
松山 → 千歳 では、キャビン・アナウンスを入れることにした。

「キャプテン、このフライトでアナウンス入れてもいいですか?」
もちろん、いいよ。 なおちゃん、以前、『GOOD LUCK』 って言ったんだって?
 ウケたらしいじゃない? CAさん、言ってたよ。
」(キャプテン)
「え゛ぇ゛ーー!! そんな話、もう知ってるんですか?」

前回のアナウンスでは 「GOOD LUCK」 と最後に言ったことがお客さんに好評だった。
これに引き続き、「ぶっちゃけ」 の言葉を入れるべく、どういった内容を話せば、
違和感なく 「ぶっちゃけ」 を挿入できるかが課題だった。
さらっ、と流して、誰も気がつかないのも悔しい。
かといって、キムタクのように、ぶっきらぼうな言い方はアナウンスには向いていない。
アナウンスに空白の1秒を作り、おもむろに、穏やかに 「ぶっちゃけ」 を刺し込もう。
でも、やっぱり 「ぶっちゃけ」 はあまりにも問題のある表現であり、
後々、苦情が会社へ入り、おとがめがあるのもバカらしい。
そんなリスクを背負ってまで、「ぶっちゃけ」 を使う必要があるのか?とても不安だったが、
やはり我慢できずにトライすることにしたのだった。

乗客はほぼ満席近い155名だった。
中には 「GOOD LUCK」 を見ていないお客さんもいるであろう。
ウケなかったらどうしよう・・・・。
不安で心臓バクバクだった。

乗務前に、客室乗務員(CA)さんから聞いたのだが、
CAの間では 「GOOD LUCK」 の視聴率はほぼ100%だそうで、これは使えそうなネタだった。
また、私がコーパイになったばかりの7〜8年前の自分と、しんかいコーパイをダブらせながら、
昔の生意気だった自分と、長いものに巻かれることに躊躇ない最近の自分とについて話してみた。
最後に、「ぶっちゃけ」 に不快感を覚えた方がいるかもしれないので、
念のためお侘びを入れてアナウンスを終えた。

すぐにインターフォンでCAさんを呼びだして反響を聞いてみたかったが、
今日はお客さんが多く、きっとサービスが忙しくて手が離せないはずなので、
CAさんから連絡があるまで待つことにした。

満席のお客さんが、もし前回のアナウンス同様、笑ってくれれば、きっとコックピットまで聞こえてくるはず。
それが、アナウンスが終わっても、後方は、シーン、と静まり返っており、それが不安を倍増させた。

ひょっとしてノリの悪いお客さんが多かったかなぁ〜。
後で、会社にクレームが入って、偉い人に呼びだされて絞られるのかなぁ〜。
キャプテンに迷惑がかからないかなぁ〜。
もしかすると、乗務停止処分が出て、さらに業務連絡で 「ふざけたアナウンス禁止令」 が出たりして・・・。
あぁ〜、やっぱり、やめときゃ良かったかなぁ〜。

庄内を過ぎてしばらくして、インターフォンでCAさんに呼ばれた。
客室のサービスは終わった、との連絡のみ。
アナウンスについてはノーコメント。
ヤッベェーーーーーーッ!!!!

恐る恐る、聞いてみた。
「あのぉー、アナウンスふざけてるって、怒ってるお客さん、いらっしゃました?」
いえ、そんなことないですよ♪ 若い方も多かったので、喜んでらっしゃいました。
 ありがとうございました!
」(CA)

あれぇ〜・・・・。
「若い方も多かった」 っていうことは・・・・・・・・・・。
年配の方々はやはり、不機嫌だったのかぁあぁあ〜〜〜!!??
どーする? どーする? どーするのぉ〜〜?
まぁ、終わってしまったことは、しゃーないか?
あぁ〜、また自分から墓穴を掘ってしまったのねぇ〜。
穴を掘っちゃぁ〜、埋め。 埋め終わったら、また掘り。
こんなこと、いつまでやってるんだぁ〜、オレわ〜?

千歳に到着し、お客さんが降りていく姿を私は不安気に眺めていた。
だーれもコックピットを振りかえってはくれない・・・・・。
「GOOD LUCK」 使った前回は、笑顔でこっちを見てたっけなぁ〜。
やっぱ、不評だったんだなぁ〜、きっと。

お客さんが全員降り終え、コックピットを出て、ビクつきながらCAさんの顔をチラッと見た。
すると、そこに微笑みを発見〜っ♪
あぁ〜、良かったぁ〜〜♪
きっと、そんなには不評じゃぁなかったんだなぁ〜〜♪

果たして本当のところはどうだったのか?
お客さんのみぞ知る、である。
これから数週間、私は会社からの呼び出しにビクつくのであろう・・・・・・。



2003.02.20

妻とシンちゃんはお昼ねタイム。
ずーっと前にテレビで録画した 「シックス・センス」 を一人で見た。

録画するにあたり、
「オレさぁ〜。 一回見たけど、全然ストーリー覚えてないし、録画して後で見るわ。」
と言うと、妻曰く、
さすがに、シックス・センスは覚えてるでしょう?

私の記憶力は、ずばぬけて悪い。
映画が大好きな私は、食い入るように見るのだが、ストーリーを忘れてしまい、
何回見ても初めて見たような感じがすることが多々ある。
ラスト・シーンを見た瞬間、「あっ! これ見たことあるっ!」 と気がつくとき、自己嫌悪に陥るのだ。

小学生の頃、母によく有名な小説を読まされた。
集中して一気に読むのだが、2〜3日でストーリー、主人公の名前等、全て脳からDeleteされてしまう。
新聞なら2、3行、漫画ですら、5ページほど読んで、読み出しの最初の方が分からなくなって戻ったりする。
友達とマンガを回し読みしていた時、
私がなかなか終わらないのにイラついた友人が私のところへ来て、そして言った。
オイッ! なんで戻ってるんだよ!

さて、シックス・センスは、映画の最後で意表をついた展開となり、
その内容を他の人に教えないで下さい、という映画からのメッセージがあったことは覚えていた。
コール少年は幽霊を見る能力がある。
これがきっと他人には教えていけない内容なんだろうなぁ〜。
場面、場面、話の展開等については何も覚えておらず、
全てが初めて見るかのようだったが、結末については以外と覚えてるもんだなぁ〜。
それにしても、最後で急展開するはずなのに、随分前の段階で分かってるんだな・・・。

そして、マルコムの指輪が妻の手から落ちたシーンを見て、
?????
マルコムが気がつくと同時に私も気がついた。
マジィーーーッ!!!???
マルコムって死んでたのぉ〜〜〜???!!!

やっぱり、な〜んにも覚えていなかった・・・・。
この衝撃的なエンディングと、それを覚えていられない衝撃的な自分の脳の構造に
改めて驚かずにはいられなかった。



2003.02.21

松山 → 千歳 は37,000ftで向かった。
いつもだと、上空の風は西風か南西風である場合が多いのだが、今日は北北西風が強かった。
松山から千歳は、南西から北西に進むので、西風か南西風だと追い風になり、千歳へ定刻に到着できる。
しかし、今日のように北北西風が強いと、若干の向かい風となってしまう。
その分、速度が出ないので、遅れることが予想された。

松山を離陸する際、私達の前に出発したJ社の飛行機が、到着機を待つ羽目になり、
J社に続いて離陸する私達の出発は数分遅れてしまった。

長野県の上空から北陸にかけて、風の変化とともに揺れがあり、速度を落とさざるを得なかったため、
ここでも2〜3分の遅れが生じた。
さらに、千歳空港へのアプローチ機が多く、順番はかなり後回しだった。
結局、定刻を遅れること13分で Spot In した。

お客さんには迷惑をかけてしまったが、これでもかなりマシだったと言えよう。

千歳空港は北風が吹いていたため、01R にまっすぐ降りれ、
さらに着陸後、Spot までの距離は短く、また路面にほとんど雪がなかったので、
地上滑走にも時間がかからなかった。
もし、南風で 19L に降りたとすれば、01R で降りるより10分近くは遅れるであろうし、
さらに雪のため路面が滑りやすいと、着陸後、Spot In するまでに10分以上かかってしまう。
そういった不運が重なれば、定刻を30分も遅れる可能性もあったわけだ。

乗客のみなさんには申し訳なかったが、13分程度の遅れですんで、良かった、良かった。



2003.02.26

本州は高い雲で覆われており、35,000feet以上で飛ぶことがRecommendedだった。
千歳 → 松山 はほぼ満席だったため、飛行機の重量が重過ぎて39,000feetには上がれなかった。
残る選択肢は35,000feetしかなかった。

こういうときに限って、FL350がもらえないことがよくある。
みんなで同じ高度を狙うために混雑するからだ。

千歳から離陸し、28,000feetまで上昇する許可が出た。
ほーら、やっぱ、FL350はダメなんじゃないかなぁ〜。
TCASが映し出す私達周辺の飛行機の機影を探すと・・・・・、
イットゥァアァアーーッ!!
後方、20km弱に31,000feetで飛ぶ飛行機と、
前方20km弱に35,000feetで飛ぶ飛行機がいるではないクワァ〜〜ッ!!

マジッすかぁ〜〜??
どうすんだべか?
はさまれちまったド?
これじゃあ、ずっと35,000feetに上がれそうにないなぁ・・・・。
案の定、秋田を過ぎてもFL350への上昇は許可されなかった。

東北上空、28,000feetでのジェット気流は150kt程度吹いており、
コンピューターが計算する松山空港到着予定は定刻より10分は遅れそうだった。
35,000feetを飛行中の飛行機は、私達より巡航速度が速い飛行機だったが、私達をなかなか引き離さない。
ということは、FL350のジェット気流はもっと強い、ということだ。
FL350へ上がると、ますます遅れることになるんだろうか?

カンパニー無線で、中部、近畿、瀬戸内のエリアでの揺れの情報を収集した。
キャプテンは向かい風の弱い20,000feet、22,000feetの辺りと狙っているようだったが、
どうやらFL280とそれほど強さは変わらないようだった。
風の影響を考慮しないと、飛行機の速度はFL280よりFL200の方が速いし、燃費も断然良い。
26,000feetは雲の影響で揺れているとのこと。
う〜ん・・・・、このままFL280で飛ぶのが良いのだろうか?

新潟を過ぎ、FL350を飛ぶ前の飛行機との距離は次第に狭まった。
よっぽどFL350は向かい風が強いのだろう。
FL280の風は次第に遅くなり、しかもここまで気流、雲の影響等で全く揺れなかった。

松本の少し先には、FL280では越せない雲があった。
あの雲、FL350なら越せるんだよなぁ・・・・。
しかし、何気なくコンピューターに出ている松山到着予定時刻を見ると、
なんとっ! いつの間にか定刻より8分も早く着く計算になっているではないか?!
よっしゃぁーーっ!!
やっぱりFL280で正解だったんだよ、絶対。

名古屋より100kmほど手前で雲に突入。
おっ!? 意外と揺れないじゃん♪ ラッキ〜♪
その先は、一時的に大津の北40km付近でゴトゴト揺れた。
念のため近畿のカンパニー無線でFL280の揺れ具合を聞いてみると、瀬戸内では良好とのこと。
無線を終え、数秒後、雲の外に出た!
イェ〜〜〜イ!!
もう、この先は大丈夫っしょ。

松山へ向けて降下を開始する付近にだけあった雲にかすると予想外に揺れたが、もう着陸10分前だ。
シートベルト着用のサインを点灯させるのに丁度良いタイミングだった。

結局のところ、定刻より5分早く松山に到着することができた。
ジェット気流が速く、向かい風は強いが揺れない、とされていたFL350を飛んでいたら、
きっと定刻には着けなかっただろう。
千歳でブリーフィングを受けたとき、FL350以下は雲の影響で良くない、と言われたものの、
風が吹いていなくても最大速度が出せ、かつ、向かい風も弱く、
しかもほとんど揺れなかったFL280を飛んだことは、結果的に正解だった。

終わりよければ全て良し。
満足なフライトだった。