Question:
夜間飛行の方法を教えてください。
下界が見えない夜間に、どのようにして飛行機(旅客機・貨物機)は正確な方向に飛行しているのでしょうか?
主な目印はレーダーでしょうか? 星座の位置でしょうか? 人工衛星からの情報でしょうか?
あるいは、月明かりや市街地の明かりでしょうか?
Answer:
夜間もそうですが、日中も、また雲の中を飛行するときも、地上を見て飛ぶことはほとんどありません。
飛行場には電波を飛ばすアンテナがあり、そこからの磁方位をみながら飛行します。
飛行場だけではなく、色々な場所にこのアンテナが立てられていて、それぞれのアンテナを結ぶ直線上を飛んだり、
アンテナからの方角と距離で飛んだりしています。
また、無線アンテナが立てられない海上などでは、
ジャイロを使い、X、Y、Z軸に対する加速度をコンピューターで計算しながら
飛行機の位置を把握します。
離陸する場所や、Push Back を開始する場所の座標を(0,0,0)とし、
そこを起点として時間の経過とともに飛行機の位置を地球上の緯度、経度に計算してやるわけです。
ただ、ジャイロだけでは精度が100%ではありません。
ジャイロの誤差を修正するために、地上のアンテナからの電波を受信できるときは、これを使います。
アンテナからの方角と距離で飛行機の正確な位置を求め、
これとジャイロが計算した地球上の座標(緯度、経度)の位置とを比較し、修正するのです。
これをアップ・デートと呼びます。
最近の飛行機にはGPS(Global Positioning
System)を装備しているものもあります。
これは車のカーナビと同じものです。
Question:
先日 仲間で雑談をしていた時このような話がでました。
「水平飛行中、果たして機体自体水平になっているのか?」
「飛行機が水平に飛行するためには機首は上がってないといけないのではないか?」
多数決では”機体も水平である”と言う答えが多かったのですが・・・・・。
”機首上り派”?! の方から 水平になっていると高度は落ちていくと言われました。
因みに私は ”水平派”?!ですが 翼の形状に何か答えがあると思っています。
実際はどうなんでしょうか? また機種によって違うのでしょうか?
Answer:
残念ながら ”機首上り派”が正解です。
おっしゃる通り、翼の形状によって、翼が水平でも揚力を得ることはできます。
翼上面が下面より膨らんでいるため、空気の流れる速度は翼上面の方が速く、
従って、翼上面の気圧が翼下面より低くなり、翼は持ち上がろうとしまう。
これが揚力です。
しかし、翼が水平であるだけで飛行機を持ち上げるだけの揚力を発生させるには、
相当空気の流れが速くなくてはなりません。
このため、翼は機体に対して水平より若干前の部分(前縁)が後ろ(後縁)より高くなるように、
斜めに取り付けてあります。
さて、この翼の機体に対する取付け角度は、飛行中変えることはできません。
くっ付いているわけですから。
飛行機の速度が速いほど、翼を流れる空気の速度も速く、つまり揚力も大きくなります。
しかし、飛行機の重量は燃料が減少する以外、短期的には変化しません。
つまり、もし、機体を水平に保ち飛行機が飛行していると仮定すると、
飛行機が速度を増すと上昇し、減速すると降下してしまうことになります。
これではおかしいですよね?
ここで翼の機体に対する取付け角度を思い出してください。
翼を斜めに機体に取り付けているため、
低速でも飛行機を持ち上げるだけの揚力を発生できるわけです。
もし、さらに減速したいなら、機体全体を斜めに(機首を上げる)してあげれば、
翼の空気の流れに対する角度はさらに大きくなり、
揚力が大きくなりますので、水平飛行できます。
もっと減速しつつ水平飛行するには、さらに機首を持ち上げればいいわけです。
これはどんな飛行機でも同じです。
A320 の場合、300kt(ノット)で水平飛行中、機首上げ角度(ピッチ)は
1°程度です。
250ktまで減速すると、ピッチ 2.5°、
200ktでピッチ 5.5°、
180ktでスラットと呼ばれる翼を出しているときは、ピッチ
7°です。
ちなみに、着陸態勢に入って、3°の Path を降下中、ピッチは
2.5°程度で
若干ですが機首は上を向いています。
ピッチがマイナス、つまり機首が下を向くのは、パワーをアイドルにして降下している時です。
Question:
この前訓練で南紀白浜空港に行ったのですが、空港の2NM前で、JAS便がレディをかけてきました。
それでRADIOのほうからホールドさせられると思ったのですが、
「RUNWAY IS CLEAR」がでてしまいあせってしまいました。
教官が「こうゆう時は ショートベースでさっさと降りろ」と怒鳴られて、降りましたが、
やはりJAS機は待っててくれたようでした。
そこで質問なんですが、旅客機がホールドしてるときはどのくらい燃料を消費するのでしょうか?
Answer:
正確にいくらするのか、Pilot は誰も知りません。
ただ、100ポンドで4000〜5000円位で、灯油と同じ程度では?ということを聞きました。
Downwind で 360度 Turn をするのに約2分かかります。
Gear が UP と DOWN とでは違いますが、A320
の場合1分につき90ポンド位使うので、
およそ2分で180ポンド=7000〜9000円でしょうか?
地上で待っているときはアイドルです。 アイドルでは1分間に25ポンド程度燃やします。
したがって、1分につき約1000円くらいでしょうか。 A320
は小型機ですから、大型機はもっと使うでしょう。
僕らも急いで離陸せざるを得ないことがあります。
Taxi & Take-Off Checklist の項目+自分が離陸前に
Check する項目を目視で2回ほどサッと確認します。
忘れたら大変ですからね。
離陸直前、着陸直前に目視で確認する自分だけの
Check 項目を作っておき、
Checklist とは別にいつも実施していれば、本当に急ぐ必要があるとき忘れにくく、抜けにくくなります。
試してみてください。
私も教官にいっぱい怒鳴られました。 怒鳴られている、ということは見放されてない、ということ。
そう思い、どんなに怒られても大きい声で「ハイ!」と明るく答えて、引きずらないように、私はしていました。
Question:
日記の中に 「着陸までオートで行った」 と言う記事を見ました。
オートで降りられるのなら、視界不良で欠航と言う事など無いのでは?
霧がかかった日などでも オートで降りればすむような気がします。
是非 オートを使う条件などありましたら知りたいです。
Answer:
オートランドするには3つの条件が必要になります。
1.飛行機がオートランドできる性能をもっていること
2.飛行場施設がオートランドできる性能をもち、かつ
オートランドのための支援体制が整っていること
3.機長、副操縦士、ともにオートランドの資格を持っていること
(1)の条件は、A320は満たしています。
(2)の条件ですが、大きな飛行場(関空、成田等)は満たしていますが、そうでない飛行場が多いのです。
天気の悪いとき、「ILS」という無線電波を使って進入、着陸しますが、
オートランドできるようにするには、それだけ電波の精密さが要求され、
それはつまり設置するためによりお金がかかる、ということを意味します。
また、オートランドを実施するとき、電波を乱すと安全に着陸できませんので、
電波を乱す可能性のある滑走路の周辺に、飛行機や車両が入ってこないように制限したり、
着陸機同士の管制官間隔を開ける必要があるため、
混雑する時間帯など、さらに飛行機の渋滞を発生させます。
したがって、本当に必要のないときはオートランドはしません。
(3)の条件ですが、現在乗務している型式の飛行機(私の場合A320)の飛行時間が
一定の時間を超えないと、資格を取ることはできません。
オートランドの資格は、1年に1回の審査をともない、
当然そのためにはかなり勉強しなくてはならず、大変です。
以上の3つの条件を満たせば、オートランドはできますが、
実施する場合は過去にオートランドの経験がないとできませんので、
天気の良い、気流の安定した日に実施し、経験しておくわけです。
しかし、コンピューターがするためファジーなコントロールができず、
ハードランディングすることもあります。
Question:
以前、関西空港から羽田空港までのANA977を降りるときにコックピットの中をみせていただいたときに、
A321の操縦桿が操縦席の斜め前にあったのですが、A320も同じでしょうか?
B737、、B767、B777の操縦桿は椅子のまん前ですが、操縦、やりづらくありませんか?
Answer:
操縦桿は通常車のハンドルのように自分の正面についています。
それが、A320、321 は Side Stick と呼ばれるものに代わり、
機長サイドは左前方に、副操縦士サイドは右前方についています。
最初は見慣れない光景でビックリしましたが、使ってみると便利です。
いままで操縦桿のあった場所に A320 は何もないので、
代わりに引っ張り出せるテーブルがついています。
離着陸時にはしまっておくのですが、上空ではその上にお弁当を置いて食べます。
このテーブル、うわさでは1つ200万円もするのだそうです!!
飛行機の部品はとても高く、例えばサンバイザーが1枚8万円だとか・・・・
今は Side Stick の飛行機にしか乗りたくない、と思うほど慣れました。
それに、コックピットに座っていて足を組めるなんて、Side
Stick の飛行機以外ありません!
Question:
ところで、車を運転すると、たまに「ヒヤッ」とする事、(させられる事)がありますが、飛行機でもありますか?
でも、飛行機の場合、「ヒヤッ」じゃ、すみませんね。
それでも、空港で所定の場所にきちんと飛行機を停止できたりするのを見ていると、すごいなと思います。
たまには、こすったり、どこか凹ませたりしないのかな?と思ってしまいます。
私も前から滑走・駐機の時にセンターラインにぴったり合わせて飛行機を走らすのってすごいな!
と思ってました。あれって、どうやって合わしてるんですか?
Answer:
駐機は慣れてしまえばそれほど難しくないですよ。
もちろん、でっかい機体なので初めの頃はビビッてました。
翼の先端をターミナルに引っ掛けたりしたら大変なことになるし、かっこ悪すぎます。
ラインの上に沿って走るために、私の場合は
ラインの延長線がコックピット内の計器のある部分にくるようにしています。
Nose Tire(前輪)は2つのタイヤがついていますが、
ライン上のライトが丁度そのタイヤとタイヤの間にきて、
ライトを踏むゴトンゴトンという音がでないように頑張っています。
地上滑走を見れば、そのパイロットの操縦の腕前がどれほどのものか分かってしまう、
と言われているので、加速、減速がかからないようにブレーキをかけたり、
体が左右に振られないようにステアリングをきって曲がったり、
少しでも快適なように努力しています。
Question:
月刊エアラインの記事に、「離陸はfull powerではなくreduce
powerのディレイト2だった」とありました。
いつもフルパワーかと思っていたのですが、違うのですね。
燃料や加速感緩和などいろいろなことを考慮して、空港や状況により考えてるんでしょうか?
Answer:
A320の場合、離陸出力で Max Power を使うことは少ないです。
2000m未満の滑走路や、滑りやすい雪氷滑走路、防除氷液を機体にかけたときに使います。
やはりエンジンのパワーを絞って離陸することで、
エンジンを保護したり、地域住民への騒音の配慮を考えながら運航しています。
A320 では Conf2/Flex45、Conf3/Flex35、Conf3/TOGA
といった具合に、
フラップと出力を組み合わせて使っています。
Question:
地上で飛行機が移動する時の動力もジェットエンジンなんでしょうか? 舵取りはどうなんでしょうか?
Answer:
何人かの人に聞かれたことがあります。
ちっちゃなタイヤにモーターのような動力がついている、と考えている人が多いようです。
ジェット、プロペラ、いずれもエンジンの出力を使って前進します。
大抵はアイドリングでも充分な推進力が得られるので、ブレーキをはなしてほっとけば前進し、加速します。
速くなりすぎたと思ったら、ブレーキを踏んで減速します。
路面に凸凹があり、へこんだ所で止まった場合、上り坂、満席で燃料を沢山積んでいて停止後に進もうとするとき、
夜の間飛行機を駐機していて、翌朝出発時、タイヤの形が変形したまま固まることがありますが、転がらないとき、
等々、パワーを入れることがあります。
旧型のボーイング737-200では、減速するときリバース(逆噴射)を使うこともあるそうです。
ブレーキばかり使っていると、ブレーキが加熱し、本当に使いたいときに、
{つまり Reject Take-Off near V1(時速200kmくらいから離陸を中止し、停止すること)}
ブレーキが加熱されすぎて、火災が発生することもあり得るからです。
舵取りは、足を踏む感じで使うラダーと、ステアリングと呼ばれる自動車でいう
いわゆるハンドルのようなものを使用します。
通常、地上滑走中はステアリングを、離陸滑走中はラダーを使います。
Question:
離陸の方法に、スタンディングとローリングがあるそうですが、
選択のきまりはあるのですか?ANAのBLUE on
BLUEをみるとスタンディングを取っている場合が
多いような気がするのですが、私はローリングしか記憶にありません。
Answer:
離陸の方法には以下の3つがあります。
1.Normal Takeoff Method(通常はこの方法)
ブレーキをかけたままパワーを 50% 出し、
その後離陸滑走を開始し、80ktまでに離陸出力をセットする方法。
離陸滑走中の方向維持に注意が必要となる場合(横風、雪氷滑走路)に有効な離陸方法。
2.Rolling Takeoff Method(=ローリング)
滑走路上で停止せず離陸滑走しながら、又は停止してもブレーキをかけず、
パワーを 50% 出し、80 ktまでに離陸出力をセットする方法。
他の方法に比べて必要滑走路長が長くなり(30〜50m増加)、
またエンジンごとの加速特性の違いから、
一時的にパワーが不揃いになることがあるため、方向維持に注意が必要。
さらに路面が滑りやすい状況で機体を停止させることなく離陸を行う場合は、
滑走路に平行にする際の操作にも注意をはらう必要があります。
しかし、離陸に要する時間がわずかながら短縮されるほか、
加速がスムーズなため、乗客に与える不快感が3つの離陸の方法の中で最も少なくなります。
したがって、離陸滑走中の方向維持に注意が必要となる場合(横風、雪氷滑走路)は、
この方法による離陸が望ましいとされています。
3.Static Takeoff Method(=スタンディング)
ブレーキをかけたまま離陸出力をセットし、離陸滑走に入る方法。
他の方法に比べて滑走路長が短くなり、また離陸滑走中の方向維持が容易。
しかし、滑りやすい滑走路では推力の増大に伴って機体が滑り出すことがあるほか、
滑走路面上の異物をエンジンが吸い込むことによるエンジンへのダメージや騒音問題、
またブレーキをはなした後の急加速による旅客の快適性の問題から、
この方法による離陸は通常行いません。
Question:
飛行機のダイヤは,基本的にはそれを守れる見込みがあるから作っていると思うのですが,
よくHeavy Trafficのため管制許可が下りないとか言って,ゲートで待たされることがありますが,
あれは一体どういう原因なんでしょう? (羽田やCDGやFRAなどはいつも)
また,コネクションフライト遅延のため,出発待ちというのもありますが,
どの位まで待つのかという基準はあるのでしょうか?
一昨年の夏、これも今は亡き函館→新潟線ででしたが(このときはANAのB767でした)、
搭乗が済み、ボーディングブリッジが離されてから、30分以上待たされたことがありました。
「上空の混雑のため離陸許可が下りません」というアナウンスがありました。
乗客の搭乗前に混雑で離陸が遅れるとされることはたまにありますが、搭乗後に、というのは珍しいですよね。
急な混雑だったのでしょうか?
その頃、テポドン問題が話題になっていたため、機内で「実は軍事的な緊急事態なのでは!?」
などと憶測を巡らせましたが、幸い、そんなことはなかったようです。
地上で機内ドリンクを飲みながら地上波TVを見るという珍しい体験ができました
。
羽田や成田などの上空ならともかく、函館の上空がそんな急に混雑するなど、滅多にないでしょうね。
欧州線ではシベリア航路の許容本数のネックで出発を20分待ちますというのがよくあるのですが,
元々運行可能なダイヤを作ってるのに何故そうなるの?というのが疑問です.
これは,自分の順番が弾き飛ばされたって感じでしょうか?
Answer:
いろいろな理由があります。僕も本当のところを知りたいときがあります。
例えば、函館→新潟で出発できないのは、千歳→関空、関空より西の四国方面行きなどの
同一経路を飛行する路線が混雑していているからかもしれません。
米子→羽田で出発できないのは、羽田に集まる飛行機が多いからでしょう。
Push Back が重なり、両隣の飛行機が出るまで、自分達は
Push Back できなかったり。
Door Close して Push Back 前にお客の数が足らなかったり、
コックピット内の計器や装置にマイナーなトラブルが発生して、それを処置したり・・・・
色々な原因が複雑に重なりあって、遅延が発生します。
ご迷惑おかけします。
コネクション・フライトでどれだけ待ってくれるかは、路線や会社によって違います。
札幌−羽田のように便数が多ければ、待ってくれないでしょう。
ちなみに、以前、僕が学生だったころ、大韓航空で成田−ハワイ経由−ロス行きに乗ったとき、
僕の書類上のミスでハワイで入国できず、ハワイでジャンボを3時間待たせたことがあります。
ゴメンナサイ。
管制に関しての質問、結構あると思います。 詳しいことは私にも分かりません。
恐らくパイロットでは分からないことが多いと思います。
管制官の方で、説明できる方、いらっしゃったら私にも色々教えてください!
仙台の管制官の方から、メールを頂きました。 理由は分かっているが説明するのが難しく、今考えているそうです。
Question:
着陸の時、スーっト降りると「このパイロット上手いな」と思い、
バーン或いはドーンと降りると「下手くそ」と思ってしまいます。
でも、機体のためには後者の方がよいと聞いたことがあります。
(この件については搭乗時にCAの人にも聞いたことがありますが、やっぱり、答えは後者でした。)
なぜなのでしょうか?
専門的なことはわからないので簡単に(とはいっても難しいでしょうが・・・)教えてください
Answer:
操縦士の方によってその定義は違うと思いますが、私の意見を述べさせていただきます。
スーっと降りるのは比較的簡単です。気流が悪くなくて滑走路が長ければできるのです。
規定の速度より早く進入し、タイヤがつく前に操縦桿を少しずつ引っ張って
滑走路への接近速度を遅くすればいいからです。
でも、滑走路には長さの限界があります。
接地点といって、タイヤをつけなければいけない範囲が決まっています。この場所をもとに、
着陸性能の計算をしています。
追い風、下り坂の滑走路、重量が重いと、なかなか止まれないのです。
とくに冬季運航時、滑走路が滑りやすいときは、意図的にドーンとつける時があります。
機体のためには(タイヤの付け根の構造を保護するためには)ソフトな着陸の方が良いのですが、
運航の安全にはハードな方が良い場合もあります。
乗客にとってはソフトな方が快適でしょうが、こんな事情がありますのでご了承ください。
Question:
空港によって離陸時のGのかかり方が違うような気がするのですが気のせいでしょうか?
羽田・伊丹・関空・福岡はすんなり離陸して行くような気がするのですが
鹿児島空港は他より離陸角が高いような気が+Gのかかり方がきつい様な気がします。
Gのかかり方と上昇角がきついのは、会社によって違いがあるのですか?
Answer:
離陸時のGのかかり方ですが、空港によって違うわけではないと私は思います。
飛行機の型式によって違うことも考えられます。
エンジンが翼ではなく、胴体の後ろについている飛行機は、
離陸後の上昇の姿勢の角度 (ピッチ角) を大きくすることができるそうです。
ピッチ角がきついと、それだけ体重がシートの背中にかかるわけで背中にGを感じることになります。
これは、加速の時に感じるシートに背中が押し付けられる状況と同じです。
操縦桿を引き、離陸のピッチ角まで引き起こす時間が短いほど(ピッチアップが早いほど)、
プラスのG(=お尻にかかるG)がかかります。
離陸後の上昇のピッチ角が大きい(例えば20°)エンジンが胴体の後ろについている飛行機と、
ピッチ角が比較的小さい(例えば17°)エンジンが翼についている飛行機とで、
最終的なピッチ角になるまでの時間は、多分ほとんど同じだと思います。(あくまでも推測)
例えば5秒で最終的なピッチ角にすると、20°なら1秒につき4°、17°なら1秒につき3.4°
ピッチ角が増える計算になり、1秒に4°の方が3.4°より、プラスのG(お知りにかかるG)は大きくなるのです。
離陸滑走中は向かい風で、浮き上がると同時に追い風に変わる時は、マイナスのG(お尻が沈む感じ)を感じます。
向かい風から追い風になると、空気に対する飛行機の速度は減ることになり、機体は沈みます。
これがマイナスのGです。 そして、沈まないように加速しながら次第に機体の姿勢の角度を上げていくのです。
この時、上記同様、ピッチアップが早いと、反対にプラスのGを感じるでしょう。
私自身、操縦桿を引く速度は、毎回一定にはしていません。
気流が悪いときほどゆっくり引くようにしています。
背中に感じるGは、加速時、上昇時に感じるものと、減速時、降下時に感じるもの2種類に分けられると思います。
水平飛行中に加速するのと、一定の速度で上昇する場合、同じように背中に圧迫を感じますよね。 同様に
水平飛行中に減速するのと、一定の速度で降下する場合、同じように前傾姿勢になり、
シートベルトに圧迫を感じるはずです。 この原理を使って、シミュレーターは動作しています。
Question:
離陸の時ってコックピットもGが結構かかるんですか?それとGがかかりやすい場所ってあるんですか?
離陸でGがかかってる間の操縦って、やっぱり難しいんですか?
Answer:
コックピット内もキャビンと同じGがかかています。
とはいっても1.5Gもかかっていないので慣れている私たちにとっては
操縦がやりにくかったり、難しいことは全くありません。
飛行中Gがかかりやすいのは、きっとバンクしているとき、すなわち旋回中でしょう。
エアラインでは30°以上傾けませんので、水平飛行中の旋回で最大1.16G程度です。
これに同時に上昇の姿勢に入れるためにピッチアップしても1.2G程度ではないでしょうか?
ちなみに、60°バンクさせると、2Gです。
訓練中に宙返りしたときは、4.4Gかかりました。 かなり気持ち悪かったです。
ヘッドセットを変な位置でしていると、ずれてしまいますが、
それを直そうと思っても、手が持ち上がらなかったです。
Quesion:
大阪の伊丹空港に着陸する時、ワッサワッサと揺れることが多いのですが、街の上を飛ぶから、
すなわち、街の熱で空気に対流が起きているからですか?
また、着陸しやすい空港、そうでない空港などありますか?
伊丹も逆風の時に大阪平野を大きく迂回する場合など難しそうですが。
Answer:
伊丹空港では、たしかによくワッサワッサ揺れますね。
ご指摘のとおり、サーマル、地上からの熱い空気の上昇流によることも考えられます。
伊丹空港は山に囲まれています。 山に当たった風が、流れを複雑に変えながら、
飛行経路上に流れてくるため、揺れることも考えられます。
着陸しにくい空港の中には、山に囲まれたところ、島等がありますが、
ほとんど全てが地形の変化による気流の乱れが原因だと、私は感じます。
伊丹で逆風の時に大阪平野を大きく回る操作は、特に難しくありませんよ。
私個人的には、オートパイロットを全て外し、手動で飛ぶことにしていますが、まっすぐ降りるより気持ちいいです。
「飛んでる」と感じるのは、まさにその時だからです。