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引越し 〜 お庭、完成
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4月末にリフォームの大半が終わった。
ゴールデンウィーク明けに始まる東京での訓練の前に、引越しを終える必要があった。
梱包をしにくい工具類は、全て自分で運び込んだ。
これが意外と大変な作業だった。
トレーニング・ジムの解体も終え、機器を運ぶのは引越し屋さんに任せたが、メチャメチャ大変そうだった。
この間、別の工務店さんと外壁塗装の打ち合わせを行った。

引越しが終わり、なんとか生活ができる状態まで後片付けをし、
大急ぎで東京での1か月半の生活のためのパッキングをした。
無事に訓練が終わった今だからこそ言えるが、訓練のための勉強は全くの手つかずだった。

私が東京へ行っている間に、外壁塗装の工事をした。
妻はシンちゃんを連れて実家へ帰った。

東京で座学、シミュレーターまで終え、家に戻った。
ほんの一瞬、無垢のパイン材をふんだんに使った我が家を満喫した。
新しい風呂も最高だった。
この頃までには建具は全て所定の位置に収まっていた。
外壁塗装の工事も終わっていたが、出来栄え、作業の丁寧さはいいとして、
色の選択に間違ったことに気が付いた。
もちろん、すでに後のまつり。
約20年後に再び塗装し直すまで我慢することとなった。

お金を節約するために、ガレージの屋根の波板は自分で張ることにしていた。
その一角にトレーニング・ジムを設営する予定だった。
機器は鉄製だ。
防錆入りのペンキで塗装してあるとはいえ、雨ざらしにしておきたくなかった。
屋根を早くつけたかったが、とりあえず沖縄の下地島での訓練が終わるまで待つことにした。
ちょうど梅雨の時期でもあり、
車を降りてから家に入るまでに雨に塗れるから早く波板を張れ、
と妻から指示が出ていた。
新聞の折込広告の中にホームセンターのチラシを発見。
お゛っ!?!
エンビの波板が安売りしてるっ!?!?
早速、ホームセンターで購入し、私が下地島から戻る時期に合わせて配送してもらうよう手配した。

そして、すぐまた実機の訓練のため下地島へ向かった。

下地島での実機の訓練まで終わり、家に戻った。
ホッ、としている暇はなかった。
これから本格的なOJTが始まり、11月に予定されている最終審査のための勉強をしなくてはならい、
というのに、私はせっせとガレージに波板を張った。


(短パンが濡れているのは、雨の中、作業をしているため)

工務店にお願いすると、10万円ほどする、と言われたが、自分ですれば材料費だけ。
3万円弱で済んだ。
そんなに忙しいのなら、人に頼めばいいのに・・・、と妻は言うが、
ほんの少しでも節約したい私にとって、自分でできることを自分でしないのは許せない。

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最初は生垣を残したまま、庭を造るつもりだった。
しかし、居心地良く住んでいると、次第に、さらに居心地良くしたい、と思うようになっていった。
「なぁなぁ、外溝工事、やってもらっちゃおうか?
 う〜ん・・・・、やっぱお金もったいないよな?」

数日してまた言った。
「なぁなぁ、これだけお金使っちゃったんだからさぁ、  もう、あといくら使っても一緒なんじゃないかなぁ〜?
 う〜ん、でも、転勤する可能性も考えると、これ以上お金使うのもなぁ・・・・。」

数日後、また言った。
「なぁなぁ、転勤してこの家を貸すとき、生垣だと手入れが面倒じゃん?
 生垣を撤去してブロック塀にしとけば、その点、管理が楽だよね。」

ケチな私だから、これ以上の出費はどうしても避けたい。
お金は使いたくないのだが、やっぱり庭をなんとかしたい。
さらにお金を使うための口実が私には必要だった。
散々悩んだ挙句、とりあえず、何件か工務店に見積もりを出してもらうことにした。

生垣を撤去し、生垣の木と一部残った植木を捨てる費用と、庭石と大量の土を捨てる費用、
それにブロック塀を積み、アルミのフェンスを立てる。
庭は更地にするだけ。
その程度の工事に、お金がかかるわけがない。
せいぜい30万円ぐらいなんじゃないの?
かかっても、50万円は超えないでしょう。

そんな甘い考えは見積もりを見て吹っ飛んだ。

100万円っ?!?!?!?!?!

やっぱり外講工事、やめようか・・・・・。
妻と相談。
イヤ、別の工務店にも見積もってもらおう。

85万円っ?!?!?!

高っかぁ〜。
でも、ちょっと値段、下がったぞ。
もう一軒、あたってみよう。

60万円っ?!?!

う〜〜〜〜〜〜〜ん・・・・・・・・・・・・・・・・。
普通に買ったら、最低1本4500円〜6000円するであろう枕木を、10本入れてこの値段。
よしっ!
頼もうっ!!

最初の見積もりでは、トラック1杯で終わるはずだった捨てる土を、
私が頑張ってトラックもう一杯分掘り、それも追加料金なしで持っていってくれたぁ♪


東京での訓練中に泊まっていた、ビューロー品川のウッドデッキが素敵だった。
それで、あの感じと同じにしよう、と、最初は庭全体をウッドデッキにしようか、と思った。
工務店に頼むと、これがまた、あり得ないほどバカ高い。
ちっぽけなウッドデッキが何十万円もする。
そういったウッドデッキに使われている木が「レッド・シダー」という種類の木であることを知り、
ホームセンターで調べてみた。
すると、あった、あった。
大量にあるではないかっ!!!
しかも、安っすぅーーーーーっ?!?!?!
3m×10m程度のウッドデッキを作ったとしても材料費だけなら8万円程度で済むではないかっ!!。
更地に、庭全体にジャリを敷き、その上にウッドデッキを作れば、雑草が生えてくることはないので、
維持管理がメッチャ楽〜♪
と思いきや、聞いてビックリ。
ウッドデッキって、手入れ(防腐剤を塗る等)をしないと2年程度で腐ってしまう??
転勤して、人に貸す可能性も考えると、ウッドデッキが腐って、私にやり直せないとすると、
工務店に頼んだら、それこそ大変だぁぁぁあああああーーーーーーっ!!!!

ウッドデッキは却下された。

雑草が簡単に生えない、できるだけ手入れをしなくて済む、美しい庭にしたかった。
しかも、シャレたカフェのお庭のイメージがいい。
妻は雑誌の切り抜きを沢山見せてくれた。
本屋にも行った。
そして、ガーデン・ペイビングの本を見つけた。
ペイビング=舗装する
とはいっても、コンクリートやアスファルトでする舗装のことではない。
石、レンガ、枕木を使って庭の土の部分をなくすのだ。
作品集の写真を見る限り、とても美しかった。
これにしようっ!!

本に載っている古びたヨーロッパ風のレンガを求めて、ホームセンターは何軒も回った。
しかし、ない。
全くない。
どこにもない。
妻はホームセンターに売っているレンガでも、全然OK、と言ってくれたが、
私が満足できない。
レンガを敷くのには、仕事に慣れない私がやったら、恐らくメチャメチャ時間がかかるはずだ。
とてつもない時間をかけて作業して、出来上がりが素人っぽいのは絶対にイヤだ。
業者に頼んだような完璧な仕上がりにならなければ気がすまない。
それを低コストでする。
レンガや枕木を私は敷いた経験が一度もない。
仕事の完成度に自信はない。
でも、どんなに時間がかかっても、どんなに不可能に思えても、
できるまであきらめなければ必ずできる。
かならずプロの仕上げをする。
そう決めていたので、材料にもこだわりたかった。

さんざん探したが、見つからなかった。
外溝の日取りは決まっていた。
枕木は外溝工事をしてくれる業者さんに、安くわけてもらった。
あとはレンガさえあれば始められる。
作業をするなら雑草が生えない冬がいい。
どんなに時間がかかっても、花粉が飛び出す2月末までには終わらせたい。
もう、レンガを買って準備しておかないと、間に合わない・・・・・。

そして、ある日、私は決めた。
ホームセンターのレンガで妥協しよう。
普段は1万円札を何枚も財布に入れない私だが、この日は何枚も入れて車に乗って出掛けた。
買うぞ、買うぞ、買うぞぉぉぉおおおおーーーーーーーっ!!!!

何度も通った道を車で走った。
3車線×3車線の広い道路の一番右、追い越し車線を走っていた。
あと200mぐらいでホームセンター。
間もなく右折しなくてはいけない。
と、何気なく左の方向を見た。
歩道が目に入り・・・・、そして、とってもいい感じの古いレンガが目に入った?!
ハッと我に返り、その場所をよく見ると、あ゛っ!、古レンガが沢山積んである!!!
あれって、お店じゃないのかっ???

あわててブレーキを踏みながら左へハンドルを切り、歩道につけて停めた。
今のは古レンガっぽかったよな?
イヤ、まさかな・・・・・。
この道は何度も通ってるけど、あんな店、一度も視野に入らなかったし、
古レンガ屋さんのわけないよな。
でも、一応、念のために寄っておこう。

すぐに戻るつもりでハザードを出し、車を降りた。
20mほど来た道を戻った。
うぉぉぉおおおーーーーーーーッ!!!!!!!
ここって、マジ、 古レンガ屋 じゃんかいっ!!
良かったぁ〜、最後の最後に見つけることができて。

ホームセンターのレンガに比べると、単価は恐らく2倍はした。
それでも欲しい。
これじゃなきゃイヤだ。
興奮気味に携帯電話で妻に電話した。
妻は、古レンガが高いなら私はホームセンターのでもかまわない、と言った。
見事、機長昇格できたら、お祝いに、私はロレックスを買おうか、と迷っていた。
ロレックスを買ったら30万円はする。
それを止めて、昇格祝いにレンガを買えばいいじゃん。
ロレックスだったら私だけのものだけど、レンガなら家族みんなが嬉しい。
それでいいじゃん。
そうしよう。
(妻は、いつもみすぼらしい私にロレックスを買って欲しかったようだった。)

とりあえず、色々な種類のレンガ達の写真をケータイのカメラで撮り、家に帰った。
次の日、再びシンちゃんと妻を連れて古レンガ屋へ行った。
私が感激した理由が、妻にもすぐに分かったようだった。
好きなの買ったらいいよ。」(妻)

妻の嗜好も考慮しつつ、私の好きなレンガを買った。
kg売りをしていたが、私の買ったレンガは分厚く、とても重かった。
結果的に、庭に敷き詰めた場合、単位面積当たりのコストは、ホームセンターのものの約3倍してしまった。
でも、昇格祝い(昇格の前祝い?)と思えば、まぁ許せる。
ロレックスよりは断然安い。(結局、ロレックスは買わなかった。)

外溝工事が終えると同時に、私はレンガ敷きの作業を始めたのだった。

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